□間違ってるよ
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『グリーンへ

最近来ないけどお元気ですか?僕は元気です。
少し心配になったので手紙を書きました。
早いものでもう春ですね。でもシロガネ山は相変わらず雪がふってます。
…うーん、なにを書こう。
あ、そういえば今日はエイプリルフールだね。
実は僕もう死んでるんだ。嘘だよ。驚いた?
それはさておき、グリーンが来ないから僕死んじゃいそうなんだけど。
早く来てよ待ちくたびれた。
それから、ゴールドに何もされてない?変なとこ触られたりとか。ほんとあの子には困っちゃうよ。僕に無断でグリーンにべたべたべたべたしてさ。グリーンもグリーンだよちゃんとイヤならイヤって言いなよだから調子に乗るんだよほんと意味わかんない僕がそっちにいないからってやりたい放題しやがってあんのくそガキ今度会ったらただじゃおかないってことで今からこの手紙送るために下山するから。
それじゃあね。

レッド』





「…で、なんで手渡しなわけ?」


俺は手紙を元の大きさに折りたたみ懐にしまう。それから玄関にたたずんでいる見慣れた赤い服の男に呆れを含んだ視線を向けた。


「どうやって送ったらいいかわかんなかったから」


さらりと一言。
呆れが頂点に達した俺の口からはもうため息しか出てこない。
しかも今は秋だ。春でもなければエイプリルフールでもない。
その上、手紙の後半は字が乱れていて読むのにとても苦労した。


「春だから暖かいね」

「いやもう秋だし。そりゃシロガネ山から来たやつにとっちゃ暖かいんだろうけどよ」

「………」


お互い会話がなくなり少し空気が重くなる。
そういやレッドに会うのは久しぶりだ。二週間、いや1ヶ月ぶりだろうか。
いつもは食料とかキズぐすりを一週間おきに持っていっていたのだが、最近ジムの仕事が忙しかったし、何より俺がレッドの所へ行こうとするとゴールドがうるさくてなかなか行けなかったのだ。

するとずっと黙りこんでいたレッドが突然口を開いた。


「ねえグリーン、いつものあれ言ってよ」

「お前今日結構喋るな。つか"いつものあれ"ってなんだよ」

「なに、忘れたの」


そもそもレッドと会う度に毎回言ってた台詞なんてあったっけ?と首を傾げていると、痺れを切らしたレッドが俺の両肩に手をおいて静かに言葉を発した。


「"今日も激しくしてね"って」

「いやそんなこと言った覚えねえんだけど」





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