文
□こんなにも
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『今も言えないまま』の続きです。
※緑視点
レッドが部屋から出ていって、それからもゴールドからの口づけは続いた。
思うように酸素が取りこめず本当に苦しくなってきたところで、右手でゴールドの左肩を押すが離してくれそうにない。
「い、加減っやめ…」
「いやです」
「っ…、は…ん、」
それでも拒み続ける俺。
するとゴールドはわかってくれたのか、すっと唇を離してくれた。
「っは…、は」
「………」
肩で呼吸する俺を見つめるゴールドの目はとても冷めていて、でもどこか哀しみを含んだ色をしていた。
「グリーンさん…もしかして、さっきの人のことが好きなんですか?」
「……、…」
何も言えずに黙りこむ。
俺だってわからない。ただ、レッドの顔を見たらひどく安心して、嬉しくなって、泣きたくなって、それから…
…それから、
「………」
「どうなんですか」
ゴールドが早く答えろよとでもいうように声色を低くする。
そんな、俺にもよくわからないことをどうやって答えろというのだ。
「…わからない」
「…は?」
「俺にも、よくわかんねーんだよ…」
「………」
困ったような顔をして、ゴールドは一旦俺の上から退き床に足をつけてベッドの端に座った。
俺も間をおいてから起き上がり、その隣に座る。
「………」
「……ゴールド…」
そのまま黙りこんでしまい、部屋に静寂が訪れた。
俺はどうすればいいのかわからなくなり、同じく黙りこむだけ。
突然気配が動いたかと思ったら、床に落ちていた帽子を深くまで被り表情すら伺えなくなってしまった。
「………」
「………」
ぽた、と音がした。
ふと隣を見ると、目は見えないがゴールドは俯いて下唇を噛み、自分のズボンをぎゅっと掴んでいる。
涙であろう雫がその手の甲を濡らしていた。
それから俺に見られないようにか、少し顔を背け服の袖でごしごしと目を拭う。
「…ゴ、」
「俺は…っ…俺はグリーンさんからしてみれば頼りないかもしれません!年下だし…背だってあなたよりも少し低いですし…、でもっ、こんなにもあなたのことを愛しているんです…!」
「………」
「どうして、どうして…っそれをわかってくれないんですかっ!」
ばっといきなりこちらを向いたゴールド。その目からは、拭いきれないほどとめどなく涙が溢れており、そのせいかきれいな金色の目は濁ってしまっていた。
もしかすると、そのせいではないのかもしれないのだけれど。
「………」
…俺はいつもゴールドからの告白を聞き流していた。
どうせ冗談だろうと、ふざけているのだろうと思っていたからだ。
なのに…これほどまでに俺のことを想ってくれていたなんて…。
「グリーンさん…っ俺じゃ、だめ、なんですか…?」
俺の肩を震えながらに掴む。
俺は見たことがなかった。
こんなに弱々しくて、必死なゴールド…。
でも、俺は…、
「…、すみません…少し、頭冷やしてきます…」
またいつか…返事をください。そう言ってゴールドは立ち上がり、荷物を持って部屋から出ていってしまった。
それから少し経ってから遠くの方でガチャ、と音がする。ジムの外に出たのだろう。
ふと窓を見てみると、外では太陽がもうすでに上がろうとしていた。
その微かな朝日がとても綺麗で美しく見えて、…
俺はこの世の全てを、ひどく醜いと思った。
(感情もなにもかも、みんななくなってしまえばいいのに…、)
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どろどろですね…;
もう続きません。なぎらの頭が限界ですすみません。
でももしかしたら、もしかするかもしれません。
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