その主人、入学
□結果
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日が暮れ始めた頃にシエルは戻ってきた。
「じゃぁね〜、伯爵。また明日♪」
「あぁ」
「あ、そうだ・・・1つ伯爵に忠告しとくよ」
別れ際に劉が忠告だと言う。
何のことだか分からないが、妙に劉が真剣な顔をしてたので足を止める。
「なんだ?」
「執事君には気を付けたほうが良いよ。流石の彼でもそろそろ・・・ヤバイんじゃないかな?」
「・・・?どういう事だ?」
「じゃぁ、我は失礼するよ」
「あっ・・・ちょっと、待っ・・・!」
逃げるように帰っていく劉。
相変わらず逃げ足だけは速く、シエルの止める声は届いていなかった。
「全く・・・どいつもこいつも意味が分からない」
セバスチャンに気をつけろ・・・だと?
確かに様子は可笑しかったが、気をつけろとはどういう事だ?
頭でぐるぐる考えながら屋敷のドアを開けた。
屋敷で何が起きてるかも知らずに。
「お帰りなさいませ、坊ちゃん」
屋敷に入るといつもと変わらずに主人の帰宅を迎えるセバスチャン。
やっぱりさっきのは劉のいつもの知ったかぶりか何かだったのか?
いや、でも・・・
「何かやけに静かじゃないか?」
何か屋敷の様子が変だ。
「そういえば・・・使用人達はどうした?一人もいないじゃないか」
「・・・・」
「おぃ、聞いているのか?バルドとフィニとメイリンとタナカはっーー!!?」
それは一瞬のことで、シエルは何が起きたのか分からなかった。
身体が一瞬浮いて、気が付いたら寝室のベッドの上。
そして、黒い燕尾服をまとった男に組み敷かれていた。
「セバスチャン!?一体何をっーーーんっ!!?」
強引に唇をふさがれる。
いつものような優しいキスではなくて、かみつくようなキスだった。
先ほどまで普通だったのに・・・何か僕がしたか?
「貴方は私だけを見ていればいいのです」
黙り込んでいたセバスチャンがぽつりと言葉を発する。
穏やかな声色なのに対して、愛撫する手は激しくシエルの身体の色々なところをまさぐっている。
「セバス・・・チャーーーっんん!」
「貴方は私の物です」