私からあなたへ
□心の中で叫ぶ
1ページ/1ページ
「俺、行くよ」
突然のことだった。
甲板の手摺りにもたれながら2人で海を眺めていた。特に話す事もなくただ黙って。
「え?」
「ティーチを探しに、サッチの仇をうちに」
「じゃあ私も…」
行くよと言おうとしたが頭(かぶり)を振るエースに遮られた。
「ミクは残れ」
「何で!」
食い下がる私の両肩に手を置き、向かい合わせになる。
「危険なんだ分かるだろ。これ以上家族に傷ついてほしくない…!!」
「そんなの…!」
「それに!」
さっきまでの真剣な表情から一転、いつも私を安心させてくれるような笑顔になる。
「俺は死なねぇよ」
そう言うとおやじのとこ行ってくると言って私に背を向け足早に去って行った。
「そんなの…」
誰も居なくなった甲板に私の言葉が涙とともに零れた。
「みんな同じだよ…」
あなたは家族が傷ついてほしくないって言った。ならあなたは?エースは家族じゃないの?この船の中に傷ついていい人何ていないんだよ…
ねぇお願い行かないで
私の隣にいてよ…
心の中で叫ぶ
(まるで子供のように)
11/09/18