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□《幕之内》提灯燈籠夏祭り
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恋に悩むあなた。

夏祭りに、こんな屋台は如何ですか?






(あぁ〜 全っ然客来ない… 値切ったっつったってショバ代はしっかり払ってんのに これじゃ商売上がったりだわ… 値切ったのが裏目に出たか こりゃ完全に失敗だよ こんな外れた場所じゃあ…ねえ)


 賑やかな夜店屋台の群れから離れた片隅。そこに、ぼんやりと明かりを燈した行灯に“占い”の文字。


 夜空には花火も上がり始め、祭りの宴も終わりに近づいていた。


(もう… やめやめ やってられん 人生諦めも肝心よ こうなったら私も艶やかな花火を楽しもうじゃない ハハハ〜ンだよ)


 周囲はカップルだらけ。そんな状況にも、もうウンザリ。


(どいつもこいつも幸せそうにイチャコラしちゃってまあ… 占いなんか必要ないってか? それならそれで この一人モンにロマンチックな出来事は無いのかっての)


 心でぶつくさ呟き歩いていると、擦れ違う人並みの中で肩がぶつかり合い、足が止まり、その勢いで体が横向いた。


(これは… このガッシリとした当たり具合は正しく男の肩… もしかしてこれが俗に言う“運命の出会い”というもの…?!)


「すみません! 大丈夫ですか?! お怪我は…?」


 高鳴る胸に手を当て恥じらっていると、そんな紳士的な言葉が…。


(“お怪我は”なんて… 優しいヒト…! どれどれその麗しきお顔をワラワに見せてたもれ)


希望に目をキラキラ輝かせながら相手の顔に目を向けると、そこに立っていたのはツンツン頭に小柄な体、顔はどう見ても幼げな男子。

 
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