100のお題

□森の扉はひらかれり…
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 ひらりと風と共に蝶が舞い、花粉を運ぶ。途端、何者かにグシャリと潰される真っ白な汚れなき蝶。粉々になった蝶をあざわらうその者の名はシロエ。

「そこで何をしているのですか?」

 凛と腹に響く声が聞こえる。どこだ、と視線を巡らせると、後ろから声が降りかかる。

 金の髪を肩まで伸ばし、さらさらと風に揺れる。透き通るその髪に触れた。蝶を潰した手で触れる。何も言わない。嫌みの一つでも言えばいいのにそれをしない人に出会ったのは初めてだったシロエは少なからず驚いた。

「いいだろ、何だって」
「それに、どうしてこの場所に入れたのですか?この庭には動物と、昆虫くらいしか入れないはず。警備だって怠っていない。城の者しか入れないところに入れた。もしかして、あなたは動物か何かなのですか?答えなさい。そして、この手も止めて下さい。ちゃんと手を洗ってから僕に触るなら許します」

 質問責めにどう答えたらいいのか思案して、結局は何も言い出せなかったシロエに彼は語りかける。

「この城へは入れたなら、あなたは私に気があるのでしょう。だから入ってきた。そして蝶を握りつぶし快感を得る。違いますか?」
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