endless world第29話〜第1部最終話

□〜endless world 第30話〜閃光のライズ、その魂は友の為に…(風都編)
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「ここはどこなんだろうか…。」



真っ白な空間の中、散り散りとなり、空間を浮遊する粒子は声を発する。



「そうか…これが「無」なんだ…不思議だ…身体を失っているのに何故か声は出せる…みんなは…ちゃんと帰れたのだろうか…。」



光の粒子はある人物達の顔を浮かべる。



………。



ガンブレイド(ライズ。俺達…ずっとダチだよな。例え姿が違っても…俺達は…。)



………。



思い返すのは自らが消える瞬間、その光の粒子は未来が変わり、新しい歴史の誕生の為に存在を失ったライズである。



「無」となり、光の粒子となって魂を保つライズはただただ、真っ白な無地の空間を漂っていた。



ライズ「僕がこうなっていると言うことはジュプトルやセレビィ…あのヨノワールもこうして漂っているんだろうか…これから先の未来はプクリン達が築き上げる未来…僕達という存在は必要無いんだ…でもせめて…もし存在が保てていたとしたら僕は…光輝達の戦いを手伝ってあげたかった………。」



ライズはただ1つの後悔を残し、それを少しだけ悔やんでしまう。



だがその時、誰も居ないはずの真っ白な空間に聞き覚えのある咆哮が鳴り響く。



ライズ「。この咆哮は…。」



「どうやら間に合ったようだな。」



光の粒子と化したライズの前にあのシルエットが姿を現す。



ライズ「ディアルガ。何故あなたが。」



ディアルガ「時の崩壊を防いだ事によって私の身体を蝕んでいた深い闇は消え、ようやく自我を取り戻す事が出来た。まずは礼を言わせてもらう。」



元の体色に戻り、あの禍々しい気配が消えたディアルガはライズにそう言う。



ディアルガ「ライズ…私はお前に1つだけ、してやれる事がある。いや…させてほしい事が。」



ライズ「僕にしてくれる事?。」



ディアルガ「左様。良いか?。今、我々の世界の向こう側…つまり、パラレルワールドという並行世界達が互いに混ざり合おうとしている。だがそれは絶対に避けねばならぬ。」



ライズ「どうして?。」



ディアルガ「融合し、1つとなった世界に生き残れるのはただ1つの世界のみだからだ。それによって無用な争いが起こる。互いの存在を賭けた大戦争が。」



ライズ「大戦争。」



ディアルガ「左様。それは我々の世界とて例外では無い。皆の知らぬ所で世界の融合は突き進んでおる。プリキュア…お前の友はその融合を目論む悪魔と戦う使命を背負っておる。この世界に来たときからずっとな。」



ライズ「じゃあ…。ラブ達の「戦うべき相手」って。」



ディアルガ「我々の存在…いや、生きる命の全てを脅かす敵との戦い…彼女達は我々の未来を背負っておるのだ。」



ライズ「。そんな恐ろしい敵と戦う事になっているなんて…僕は…僕は…。」



ディアルガ「ライズよ。私がお前にしてやれる事…それはお前の存在をもう一度、現世に戻す事だ。」



ライズ「えっ…。」



ディアルガ「私の「時の力」を使い、存在が消える前のお前をここに連れてくる。無論、この世界の歴史はお前達が救った未来のままだ。」



ライズ「つまり…。」



ディアルガ「そう…お前は本来の歴史にも偽りの歴史にも存在しない命となる。「無」からの再生…お前はもう一度、生まれ変わる。そう捉えてもらって構わん。」



ライズ「僕はまた…また生きていけるというのか?。」



ディアルガ「ああ。これは恩返しだ。お前は存在を捨て、世界を救った。そして闇に囚われていた私を倒してくれた。ライズよ…お前の望みとあらば、再び肉体を与えよう。そして行くのだ。パラレルワールドの救済を賭けている友の為に。」



ライズ「……。」



ライズは一時、考え込む。



その理由は同じく、存在を賭けたジュプトル達の事だ。



自分は彼らの意思を貫いただけ…自分だけが肉体を与えられ、再び地に足をつけても良いのか…。



ライズの気持ちは罪悪感のような気持ちで溢れていた。



本当ならすがる思いで承諾していただろう。
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