endless world 「hope」第1話〜第30話

□〜endless world 「hope」第10話〜戦火を駆け抜ける戦乙女(ヴァルキュリア)
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この国…オスティア。



この世界にはある言い伝えがあった。



戦乱の世に満ちた時、それを静める為に一角の白馬に跨がった乙女が現れると…。



勝利の象徴である「ユニコーン伝説」と「戦乙女(ヴァルキュリア)伝説」。



そしてそれを知るこの世界の人はこう言う。



「白き一角獣に乗りしその少女…勝利の剣と優しき包容で人を救い、平和の道を照すであろう…。」と…。



………。



〜オスティア、集落〜



古いレンガ作りの家。



その生活様式は中世ヨーロッパを連想させるかのような文化で、国が無くなった今は制度も何も無く、村人は自由に生きていた。



しかしその反面、遠い地で謎の集団が「帝国」という名目で国を作り上げ、小さな街や集落を次々と蹂躙していっているという悪い噂が巷ではさかんになっていた。



そしてそのレンガ作りの家の一角に佇む小さな小屋で彼女は…青木れいかはベッドに横たわっていた。



彼女がこの世界に来てはや、一週間近くが経過していた。



ミラープリキュアによって負わされた傷は深く、致命傷と言われるほどであったがなんとか一命をとりとめ、未だ意識が回復していない状況となっていたのだ。



しかし今日…彼女は意識は取り戻し始めていた。




ゆっくりと目蓋を開くれいかは、視界に写る天井をジッと見つめ、頭の中はまだ真っ白となっていた。



「やっと目を覚ましたようね?。」



自分の隣から聞こえてくる聞き覚えのある少女の声にれいかは、ソッと顔を横に向ける。



れいか「あなたは…。」



視界に映るのは、綺麗な蒼い長髪をなびかせた少女…かつて、横浜市で自分達に道を作ってくれたプリキュアの一人…蒼乃美希。



美希「動かないで?。あなた、一週間も眠っていたのよ?。」



れいか「一週間も…ですか…あの…ここは?。」



美希「ここは「オスティア」。あたしとあなたの世界とは全く違う世界よ?。」



美希はそう言って、窓を開ける。



そして彼女の目に飛び込んで来たのは田舎町のような風景が広がっており、田畑を耕す農民や、甲冑を着込んだ兵士のような人で賑わう小さな集落。



するとその時、ドアをノックする音が部屋中に鳴り響く。



「あの…食べ物を持ってきたんだけど…。」



聞こえて来たのは気弱な少年の声、美希は微笑を浮かべながらドアノブに手を伸ばし、ゆっくりと開ける。



美希「ありがと♪。ジャック♪。」



美希は小さなトレーを持ったその少年「ジャック」に礼を言う。



ジャック「あ…その人…目を覚ましたんだ…?。」




れいか「えっと…彼は?。」



美希「彼の名前は「ジャック」。実は森の中で倒れていたあなたを見つけたのは彼なのよ。深い傷を負っていて焦ったけど、彼の懸命な処置でなんとか一命はとりとめたのよ?。」



れいか「そうですか…あの、このお礼は…。」



ジャック「い…いいんだ…当然の事をしたまでだから…。」



そう言い残し、ジャックは部屋から出て行ってしまった。



美希「あ〜あ。また。」



れいか「あの…何か気に触ってしまったのでしょうか…?。」



美希「気にしないで?。あの子、ああいう子なんだ。悪い子じゃないって事だけは覚えておいてあげて?。」



れいか「は…はい…。」



美希「それにしても驚いたわ。まさかあなたもこの世界に飛ばされて来たなんて。」



れいか「も?。じゃああなたも…。」



美希「そ。話せば長くなるんだけどね…あたしもあなたと同じよ?。それより他の子達は?。」



れいか「…みんなバラバラになってしまいました…正体不明の敵によって…。」
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