endless world第29話〜第1部最終話
□〜endless world 第36話〜怒りのピーチ、救済の力「パワード」。(風都編)
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それがきっかけで彼女は悩みを抱き始めた。
この能力は自分が受け取って良かったのか…。
そして何故、最強のプリキュアと謳われた彼女は自分を選んだのか…。
アビスから告げられた「自分に足りないもの」。
それを追及し始めた彼女は毎日、がむしゃらな特訓を続けていた。
確かに特訓の成果は実ってはいた。
先程の反応速度に、多少なりとも強くなったパワー。
だが彼女はその為に特訓してはいなかったし、満足もしていなかった。
自分に足りないもの…彼女が追及するのはただそれだけ。
いくら力をつけようがそれを知らない限り、前には進めない。
それがあるからあの時、救えたかもしれない祈里をただ、連れ去られて行くのを見ているだけしか出来なかった。
そしてあの悲しい戦い…ピーチとパインの戦い…。
さすがに見ていられなかったのか、少しだけ泣きそうになってしまっていた。
あの力さえあれば…みんなの役に立てる。
追及と共に彼女は「能力」そのものを制御しようと必死になっていたのだ。
ブレイドの質問にコクリと頷き、不安な表情で話始める。
ブロッサム「私は未来世界でキュアクロスの力を手にいれました。でも…あの日を境に私は思ったんです。この力は私なんかに託されても良かったのかなって…。」
ブレイド2nd「…祈里の事か。」
ブロッサム「はい。あの場で動けたのは私だけ…アビスに対抗するにはあれしかないって思いました。でも…。」
彼女は思い出したくもないあの時の状況を思い返す。
願った力…。
呼応しない「白のリング」。
情けなさを感じる彼女はあの時の自分が許せなくなる。
拳を握り締め、悔しさを現す彼女の肩をポンと叩くブレイド。
そしてブレイドは口を開く。
ブレイド2nd「力ってのはよ…そういうもんじゃねぇのかな?。」
ブロッサム「え…。」
ブレイド2nd「肝心な時に限って出ねぇ。学校で習ったけど人間は100%の力は発揮出来ねぇらしい。でも何かが条件で人間は100%の力を発揮する事が稀にあるんだとよ。確か〜…か…か…。」
ブロッサム「火事場の馬鹿力ですか?。」
ブレイド2nd「そうそう
。それだよ。だから俺達は常に全力で戦ってる訳にはならねぇ。頭でそう思っても身体がそうなっちまってんだ。だからさ、あの時、あんたがキュアクロスの力を使う事が出来なかったのは身体がそうなっちまってたんじゃねぇかな?。自分に足りねぇもん…多分、ソイツがわかった時にその力はお前のもんになるんだと思うぜ?。」
ブロッサム「私に足りないもの…。ブレイド。あなたもそれがあったんですよね?。それが分かったからまた変身出来るように…。」
ブレイド2nd「まぁな。正直、足りねぇというより大事な事に気が付いてなかっただけなんだ。」
ブロッサム「そうですか……。」
ブレイド2nd「なるほどな。」
何かに気が付いたブレイドは彼女に言い渡す。
ブレイド2nd「足りねぇもん…俺もそれがあった。だからあんたは今日、俺に特訓を頼んだって訳か。」
ブロッサム「はい…戦いの中でなら、自分に足りない何かが分かると思って…あなたがそうでしたから…。」
ブレイド2nd「なるほどねぇ。で、何か分かったことは…ってその様子じゃまだねぇか
。」
ブロッサム「残念ながら…でもそれとは別に分かった事があります。」
ブロッサムは流れる雲を見上げ、長いピンクの髪の毛は風になびく。
ブロッサム「私がこの力を持つ以上、アビスは優先的に私を狙うはず…ブレイドが与えた致命傷…それが回復してまた現れるまでに私はこの力を制御しないといけません…。」
ブレイド2nd「ブロッサム…。」
ブロッサム「あまり皆さんに迷惑をかけたくないんです。元の世界で私はいつも支えられていましたから…。」
ブロッサムは宿敵「砂漠の使徒」との戦いを思い返す。
まだ決着のついていない彼らとの戦い…挫けそうになった時はマリンが、身の危険から守ってくれたのはサンシャインが、嘆きそうになった時はいつもムーンライトが叱ってくれた。
自分が大切な仲間に出来る事。