endless world第29話〜第1部最終話

□〜endless world 第36話〜怒りのピーチ、救済の力「パワード」。(風都編)
2ページ/10ページ

自分以外、みんな知っているであろう、今のラガルトの事…。



不信感を抱いたまま、彼女はラファルの部屋が半開きになっている事に気が付く。



最もアビスと関わりの強いラファル。



彼なら何か知っているに違いない…。



そう思う彼女は左右、誰かが居ないか警戒し、彼の部屋へと足を運ぶ。



ニノ(。こ…これは…。)



ラファルの部屋へと入った彼女は彼のデスクに置いてある資料に目を通し、思わず息を飲む。



「生体ガイアメモリの効力、能力について。」



恐ろしさを身体に感じながら、彼女は数枚の資料を捲り上げる。



するとそこに記載された一つの人間の写真を見る。



そこに写るのは……ラガルト。



ニノ「う…嘘。なんで。」



ニノはさらに資料を捲り上げる。



ニノ「生体ガイアメモリ試作品…「オーガ」…高ぶる闘争心を強く引き出す…だが…理性や知性が低下するメモリ…通称…「バーサーカー」…。」



ニノは資料を閉じ、近くにあったディスクを取り出す。



その題名は…風都研究所…。



ニノ(…そうか…ラガルトはラファルによって…今は風都に…。)



ディスクと資料を手に、ニノはラファルの部屋を出る。



その瞳に宿すのは…離反の心。



ニノ(フュージョン…雇われてからかなり経つけど…もう戦えない…この組織の為には…ラガルトを救いたい…だとすれば、彼女達に協力を…。)



出現した魔法陣によってニノは空間転移し、その場から姿を消す。



もうここには戻ってこない…戻る必要が無い…。



募る不信感は今を持って爆発した。



フュージョンからの離反…。



目指すは風都、古き友人が居る世界。



〜風都、港〜



ブレイド2nd「グラビディナックル。」



ブレイドは重力エネルギーの宿った拳を勢い良く突き付ける。



その相手はブロッサムだ。



ブロッサムは体を回転させ、突き付けられた拳の軌道を見切り、攻撃を回避する。



ブロッサム「はぁ…はぁ…はぁ…。」



ブレイド2nd「最初に比べるとだいぶ避けるようにはなったじゃねぇか♪。よし。いっちょ休憩だ♪。」



ブレイドは近くのベンチに座り、疲れを癒す。



そう…それは朝の出来事。



いつものように、フュージョンの基地を探すための散策に向かう頃、思い詰めたつぼみは光輝にあるお願いをした。



数時間前…。



〜鳴海探偵事務所〜



つぼみ「こ…光輝さん。」



つぼみは頭に手を回し、欠伸しながら歩く光輝を呼び止める。



光輝「んあ?。どうした?。」



つぼみ「私の…特訓相手になってください。お願いします。」



………。



つぼみはそれだけしか言わず、特訓の理由も話さなかった。



ただ強くなりたいのか…。



そう思っていた光輝は新しく得たガンブレイドの力の真価を確かめる為に彼女の申し出を快く受け入れた。



だが特訓の中で彼女が何かを思い詰めているような気がした。



それを察したブレイドは今、休憩を促したのだ。



その理由を知る為に。



ブロッサム「…はぁ…。」



ブレイド2nd「なぁ、いつきから聞いたけどお前、毎日朝っぱらから特訓してるんだってな?。」



ブロッサム「…はい。」



ブレイド2nd「何か理由でもあんのか?。最近、上の空っぽい所がかなり目立ってるぜ?。」



ルナが仲間になってから数日が経った現在。



毎日、何かに思い詰める彼女に気が付いた彼は、その理由を問い詰める。



ブロッサム「…知りたいですか?。」



微笑を浮かべるブロッサムは水面に移る自分の顔を見ながらブレイドにそう尋ねる。



ブレイド2nd「まぁな。理由があるから毎日、がむしゃらに特訓してんだろ?。まさかとは思うが…キュアクロスの能力の事か?。」



トレジャータウンに居た頃からやり始めた特訓。



それは自らが得たキュアクロスの能力「ライト」の発動条件。



あまり気に止めていなかったがあの日を境に、彼女は悩み始めた。



アビスに連れ去られた祈里の事…。



あの時、祈りを込めて願った「ライト」の発動。



だが無情にも反応は示さず、祈里は連れ去られてしまった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ