endless world第0話〜第28話

□〜endless world 第8話〜無くした記憶
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夢でラブ達に語りかけていた存在「キュアクロス」の元の姿の人間だ。



光輝(6歳)「俺は母さんみてぇに雑じゃないぞ。」



亜夢「言ったわね〜このこの。」



亜夢は光輝の両コメカミをグリグリと捻る。



光輝(6歳)「痛い痛いこの暴力母親。」



亜夢「光輝があたしに適うなんて百年速いの♪さ…早くご飯にしましょ?あたしもお腹空いちゃった。」



光輝(6歳)「俺も〜。」



光輝と亜夢は互いに笑いあう。



数時間後…。



食事を済まし、光輝は深い眠りについていた。



亜夢「寝てる時は大人しい…ま…普段がやんちゃ坊主だから仕方ないっか…。」



亜夢は寝ている光輝に優しい笑みを浮かべた後、一冊のノートに手を伸ばす。



そのノートの表紙には「大切な日々」と書かれており、亜夢はペンを取り出して何かを綴り始める。



亜夢「今日も日記をつけなきゃ…。」



そう…亜夢は日記をつけていた。



そのページ数は凄まじく、同じようなノートが2冊もあり、その全てに光輝の名前が綴られていた。



そして亜夢は真っ白なページにペンを置き、いつものようにすらすらと文字を書き始める。



12月13日 晴れ



今日も何気ない1日だった。



朝に光輝を起こし、小学校へと見送り、仕事。



明後日は光輝の誕生日。


また一つ、歳をとってゆく…。



この間まで小さな赤ちゃんだった光輝も少しずつ大人へとなっていく。



あたしはやっぱり光輝を産んでよかった。



或斗、春輝が亡くなってから1年が経った…。



あの時はすべてを失ってしまったかのような喪失感に押しつぶされそうになった。


今もその喪失感からは解放されない…。



でも…でも光輝と過ごす当たり前の生活、そしてあの子の笑顔を見れば元気になる。



今、もしここで光輝を失ってしまえばあたしはどうなるのだろうか?。



間違いなく後を追って死ぬか、何も考えられないかもしれない…。



光輝の中には…或斗と同じ「力」が宿っている。



あたしが死ぬまで…ううん…出来れば一生目覚めて欲しくない力…。



光輝…あたしは頼りないけどあなたのお母さんだから…この身体が砕けようとあなたを守ってみせる…。



あなたが大切な人と結ばれ、共に過ごすその時まで…。



高町 亜夢



……。



心で思った事を日記に綴った亜夢は無意識に涙を流していた。



亜夢「あれ…ヤダ…どうしてあたし…泣いてるんだろ…。」



亜夢は部屋の周りを見渡す。



1年前までは賑やかだった部屋は今や幼い光輝のはしゃぐ声が聞こえるだけだ。



そして光輝が眠る時間帯はこうして沈黙が続いてしまう。



亜夢「絶対に…あたしが変えてみせるからね…あなたの運命…。」



亜夢は光輝の頭を優しく撫で、目尻に涙を溜めながら微笑む。



亜夢(もうあれから10年経つのか…アビスを封印してから…。)



亜夢は思い出していた…。



10年前……つまり、現代から19年前に起きた戦いの事を…。
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