endless world第0話〜第28話
□〜endless world 第8話〜無くした記憶
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帰り道……。
太陽の沈みかけた冬の空はどこか寂しげな感じをかもし出していた。
亜夢「……。」
光輝「……。」
亜夢は自分の後ろをトボトボとあるく光輝に目を配る。
亜夢「…理由…話して…。」
光輝「……。」
亜夢「あのね…黙ってるだけじゃ何にも分かんないんだよ?」
光輝「……。」
亜夢(強情だねさすがは我が息子あ…。)
光輝「。」
亜夢は公園に止まっている焼き芋屋の車を見かけ、光輝の手を取ってその前まで駆け出す。
〜公園〜
亜夢「オジサン♪焼き芋一つ♪。」
焼き芋屋「あいよ。姉ちゃん。」
アツアツの焼き芋を片手に亜夢はブランコに腰を掛ける。
亜夢「はい♪半分食べな♪。」
光輝「…いらない…。」
亜夢「嘘つき♪お腹空いたくせに♪」
亜夢は光輝の腹の虫の音を聞き逃さなかった。
光輝「。」
光輝は焼き芋をぶんどるかのように受け取り、亜夢の隣にチョコンと座る。
亜夢「さて…と…理由…聞かせて?。どうしてあの子を殴ったのかを。」
光輝「……。」
亜夢「あたしはよく言ってるよね?理由も無しに人に手を出すなって。まさか…あの子の親が言ってた通りなの?。」
光輝「そんなわけない。」
亜夢「じゃあ話して?本当の理由を。」
光輝「…分かったよ…。」
光輝は騒動の一連の理由を話し出す。
放課後…教室で飼っているウサギをいじめていた少年に腹を立たせて殴り倒した事を…。
亜夢「そう…ウサギを庇って…。」
光輝「可哀想だった…ガタガタと震えて…だから俺はあいつを殴ったんだ。」
亜夢「理由は何であれ、人を無闇に殴っちゃいけないよ?。その子のお母さんにくってかかったのだってね…。光輝だって人を殴るの…辛いでしょ?。」
光輝「だって…悔しいよ本当の事を知らないあのババアに母さんまでバカにされてうぅぅ…ああああん。」
全てを話し、何かが吹っ切れた光輝の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。
亜夢「っ…光輝…。」
亜夢は泣き出した光輝を強く抱きしめる。
彼女のその瞳も涙で潤んでいた。
亜夢「分かってる…光輝は誰よりも優しい子だって…母さんはちゃんと分かってる…。」
光輝「母…さん…。」
亜夢「ありがとね…母さんを庇ってくれて…あり…がと…。」
亜夢は小さな光輝を力いっぱいに抱きしめる。
愛する我が息子の為に…。
それから数分後…。
亜夢「ふぅ…たくさん泣いたからお腹空いちゃったね。」
光輝「大人のくせになっさけね〜。」
亜夢「大人だって泣く事があるのあ…明日は光輝の誕生日だよね♪ちょうど休日だし…明日は遊園地に行こっか?。」