銀魂SS、長編
□第二章:迷子の迷子の毛玉ちゃん
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「阿伏兎、よかったノ? 阿伏兎の部屋に置いて……阿伏兎は何処で寝るつもり?」
目の前の天人を、手でかっ斬りながら、神威が問う。
素手で闘うのが、神威の特徴と言ってもいい……傘を使って戦闘するのは、ごく稀だ。
「あそこが一番安全だからな……そー言う訳で、団長の部屋に厄介になりますぜ?」
「やだナ、阿伏兎の加齢臭に俺の部屋「まだ、そこまで歳じゃねェよ、すっとこどっこい」
「冗談だよ、いいヨ」
ケラケラと笑いながら手についた血を、ペロリと舐める神威……美味しいか? それ?
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「……んが、ん……うぅ?」
辰馬の目が覚める頃には、船は、宇宙に出ていた。
「起きたか? 坂本殿」
先ほど浴びた返り血が、服にこびりついていた……それを落とそうと風呂場に向かう途中で、阿伏兎は辰馬の居る部屋に足を運んだのだった。
「おお……あふと君がか……」
「阿伏兎だ、阿伏兎! ……坂本殿、快援隊が今何処に居るか……心当たりはねェのか?」
「心当たり……と言われてもの〜」
うーんと唸りながら体を捻る辰馬。
「俺がこのまま庇ったとしても、元老にバレるのは時間の問題……快援隊も頭がいなきゃ問題にもなるだろォし……何かないか?」
「うーん……そうじゃ! 地球に行ってはくれんがか!」
「……地球?」
「そうじゃ……陸奥はわしが居んと解れば『すまぃる』に行くはずじゃき!」
「地球……」
よりによって、一番行きたくはない場所を指名され、阿伏兎は大きな溜息をこぼした。
──あの星にいけば、団長の妹や吉原で顔を覚えられた連中もいる……騒ぎは御免だ。──
「……なら、元老に頼んでみる。理由は適当に見繕えばいいがァ……それまで見つからないようにしてくれよ?」
それでも、此処に居座ってもらっちゃ困る。
「本当がか?わかったぜよ…すまんのーお手を煩わせて」
「なに、構わねーよ。うちの団長も地球の飯食いに行きたがってたところだからなァ」
「にしても……まさか迷子になるとはの〜、ついちょらんきアッハハ〜」
……へこんだ事あんのかァ?コイツ……と阿伏兎が思うのも、当たり前だった。