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□愛する君が生まれた日
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「……」

「……」

「団長……誕生日、おめでとうございます」

「うん、ありがとう!」

「どいちゃあくれませんかね?」

「プレゼント代わりにいいだろ? 阿伏兎いただいてもサ」

「……そー言うことを笑顔で言うな、すっとこどっこい!」

さてさて、今の現状を簡単に説明するとする。
簡潔に……誕生日、団長の部屋へと足を運んだ俺は無理やりにベッドへと押し倒されたのだった。
いい加減にしてくれコンチキショー!


「なんだよ〜……照れるなヨ、阿伏兎。団長様が誕生日プレゼントはお前が良いって言ってるんだよ? 素直に喜べ」

そんな唯我独尊な発言を平気で放つ団長には、毎度の事ながら呆れもんだった……。

「俺的には、他の物で手を打ってくれると尚ありがたいんだが?」

例えば?と返答が返ってきた、食いものとかと答えてみれば要らないと即答で却下された。

ならば遊郭にでも?と引き剥がそうとすれば、弱い女には興味無いと引っ付かれては返された。

……なら、残される選択肢は何になるのか。
諦めるか、無理やり団長を振り払い逃げ押せるか……勿論、後者は無理、団長にかなう訳がない。

「……阿伏兎、俺になんか言うことは?」

諦めると言う選択肢にたどり着いてしまったと小さく溜息つけば、待ってましたとばかりにそう問い掛けた団長。
……もう、こうなりゃヤケクソだ。


「団長……愛してる、生まれてきてくれてありがとなァ……すっとこどっこいが」


愛する君が生まれた日


((だけど、やっぱり素直にはなれないが))

(俺もだヨ、愛してる。……て事でいただきまーす)
(ちょ、待て服を脱がすな! すっとこどっこい!)

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