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□2.俺に恨みでもあるんですか(通常)
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2.俺に恨みでもあるんですか(通常)

「阿伏〜とうっ!」

挨拶代わりに、脇腹に蹴りを入れると、ぐきゃっとか変な声を出し、腹を押さえる阿伏兎。

「アンタな……挨拶代わりに蹴り入れる馬鹿がいるか!」

「暇、阿伏兎で遊ばせろ」

暇で暇でしょうがないんだ、任務もないし、他の団員は近づいてすらこないし。

「俺は忙しい、誰かさんの所為で」

そしてまた、デスクワークに励む阿伏兎。
なんだよ、つれないな〜

「阿伏兎、団長命令。阿伏兎で遊ばせろ」

「んな命令があるか! 暇なら一人で遊んでくださいよ、団長」

「阿伏兎、覚醒しろ」

「だから………はぃ?」

覚醒?んなもん、アンタじゃねェんだから簡単にはできねーってんだ!
そう言って、虫を追い払うように、手をひらひらさせ、俺を追い払おうとする阿伏兎。

「なんなら、俺が覚醒させてやるからさっ! 決めた、今日は、阿伏兎を覚醒させる事に没頭する」

「勝手に決めてんなァ!」

阿伏兎がブツブツ言ってるけど、無視しよう。
早々阿伏兎から離れ、構えをとる。

「……団長? 人の話聞いてる?」

「聞いてる「訳ないだろが!聞いてたら、んな体勢とってねぇよ、このすっとこどっこい!」

「うわっ、阿伏兎ごときが、俺とセリフ被せるなんて生意気〜」

「……」

「だいたい、上司の命令は絶対だよ? 阿伏兎は俺の部下なんだからさ」

阿伏兎、お前が俺に弱いのなんて、昔からだろ? なんだかんだ文句をたれながら、最後は付き合ってくれる阿伏兎、俺、大好きだヨ?
なんて、俺が言った暁には、深い溜息をはいて、机の横に立てかけてあった傘を掴む。
──そして、俺に付き合ってくれるんだろ?──

俺に恨みでもあるんですか

それが最後の文句だった。
恨み? そんなものないヨ。俺は、阿伏兎と遊びたいだけだから。



(でも結局、阿伏兎は覚醒しなかったんだよね……残念)

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