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□大嫌い、でも…
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「阿伏兎なんか、大嫌いダ」

ほらまた始まった、いつもいつも……ふてくされると第一声に口にする台詞。
こちとら聞き飽きてるってんだァ……

「へーへー、嫌いでも何でも構わねーから仕事の邪魔しねーでくださいよ」

「嫌いなんてもんじゃないヨ、大嫌いダ」

……どっちでも同じだろがァ。嫌いに違いはないだろうに。

「大嫌いでもいいから今は邪魔するなァ」

「……大嫌い大嫌い大嫌いぃい〜」

「あ〜、煩いってんだァ! 分かったっつってんだろがァ!」

机を向いたままそう声を荒くすれば、背後では小さく「……阿伏兎は俺の事嫌いなんダ……」と呟く声が、少し涙声に聞こえた。

「……」

いや、涙声って……嫌な予感と共に、手を止めて後ろを向けば、体育座りをし顔をうずめているさっきまで強気だった団長がいた。

「……阿伏兎は、俺の事嫌いなんダ」

同じ言葉を繰り返してはさらに顔をうずめる……
冗談じゃねェ、これじゃ俺が泣かしたみたいだろが……
それに耐えかね、ベッドの上に座り込んだ団長の隣に座ってその頭を撫でてやる。

「……大嫌い」

今も尚それを呟く。

「大嫌いで構わねーって言ってんだろォ? ……ただし、俺は大好きだぜ団長」

そっと抱きしめてやれば素直に肩口に顔をうずめてくる……そんな団長、嘘なんかじゃない……本当に好きなんだろうと自分でも実感する。

「阿伏兎の馬鹿……大嫌い」

「へー、へー」

「大嫌い……嫌い」

「……わかってらァ」

「……大好きだヨ」

「……俺もだァ」

大嫌いでも大好き

(アンタで言う大嫌いは、素直になれない大好き……ってなァ)

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