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□人生の……
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傘を通して伝わる、夜兎の血の快感。
己と同等にある相手との闘い。
久々に、血が騒いだ……

「なかなかやるネ、お兄さん」

目の前で、肩に負った傷を抑え、されど余裕に俺を見ている男。

「そりゃ、どーも。同族にそういってもらえるなんざ、嬉しいかぎりだ」

「でも、手加減してるでしょ? 加減したまま力を出し切らず負けるなんて、夜兎の風上にもおけないんじゃ?」

「ククッ……確かにそうかもしれねーが、俺は、同胞を大事にしてるんでな」

さっきも言っただろ?そう言って、ニヤリと笑い、闘気をやわらげる、男。
──確かに言っていた。
夜兎の血を愛でるだとか、共食いは嫌いだとか、逸材をこんな所で消したくないだとか。
そんな夜兎、初めて見た。何かのしがらみにとらわれてる訳でもなく、ただ純粋に血を愛でる夜兎……

「……興味湧いちゃった」
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