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□口では言わずとも
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「団長?」
声をかけても聞く耳すら持たない、背後にいる阿呆毛──もとい団長。
「団長? 悪かったっての。謝るから、傘おろしてくれよ……」
「ヤダ。阿伏兎が悪いんだろ?」
「いや……だから、悪かったての」
頼むから、背中に当ててる傘をどかしてくれよ、いやマジで……
大体、俺が何したってんだ、このすっとこどっこい! 身に覚えもねェのに、謝ってんだぞ、こちとら……
「阿伏兎、自分が何したか分かってるノ?」
……何したかだって?
今日は、いつものように、徹夜で始末書片付けた疲れを、任務で発散するために、一人で任務に〜……ん?
「団長。俺、任務に行くこと、アンタに言って出て行ったっけか?」
「言ってなかった」
……ああ、成る程……
「団長様が怒ってる理由がよくわかったァ……」
無意識に団長のサーモンピンクの髪を撫でる俺。