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□アンタには、かなわない…
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天上天下唯我独尊。まったくもって、アンタにお似合いな言葉だ。
そして、その言葉に値する実力もある……同じ夜兎として、誇りに思う。
誇りに思ってやるから──
「仕事の邪魔しないでくれませんかね? 団長……」
目の前で、座ってんじゃねェ……ついでに、書類の上に乗るんじゃねェ。せっかく終わらしたんだぞ、それ。
「阿伏兎、暇」
答えになってねーだろが、このすっとこどっこい!!
「こっちは、みての通り忙しいんですぜ? 他を当たれ、団長」
「書類なんて片してないで、俺と遊ぼうヨ? これ、団長命令ね」
人差し指を立てながら、ニッコニコした顔でこちらを見る、阿呆毛……
書類なんて…だと?これ全部、お前さんが俺に押し付けたんだろうが……頼むから、出てってくれ、出てって、おとなしくしててくれ…頼む、300円やるから。
「そんな命令、聞けるわけないだろが」
大体、アンタの言う遊びは、命がけなんだよ。
どうせ、殺り合いだろ?他でやって……いや、だからって、団員を殺らないでくれよ?仕事が増える……
「──阿伏兎」
「あ? なんですか? 団長」
振り返らずに訊く。
「構ってくれなきゃ──殺しちゃうぞ?」
そう、耳元で囁かれ、ハッと振り返ると、目の前には、サーモンピンクの髪……そして、互いに触れる唇……
「阿伏兎、ヤろうよ?」
顔を上げ、相変わらずのニッコニコ笑顔の、団長。
「アンタ、何処でそんな、誘い方を──」
「顔赤いよ? 大丈夫?」
ケラケラ笑いながら、俺の首に手を回す、神威。
「大丈夫じゃないに決まってんだろが」
「阿伏兎、布団連れてってヨ?」
「……へいへい」
……書類、今日中に片づけられそうにないなァ……こりや。
そう思いならが、団長を抱き上げる俺……
アンタには、かなわない…
(なんやかんやで、俺はアンタに……(惚れてるの?)
(台詞かぶせてんじゃねーよ、この、すっとこどっこい)
(…うわっ! あ、阿伏兎! そこは…っ!!)
(誘ったのは、アンタだろ?(ニヤリ)