お題
□4. それ、本気で言ってんのか?
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「そろそろ部屋から出していただかなくては、此方も仕事が出来ないのですがねェ……勾狼の旦那?」
「はははっ! もう少しぐらいいいじゃないか! 仕事は神威にまかせれば!」
「うちの団長様が仕事すると、お思いで?」
うっとうしい、なんだと言うんだ、とでも言いたげな目線……鏡見た訳ではねェが、多分そんな表情だっただろう。
自室へと、書類を届けにわざわざ来た第八師団団長の勾狼は、今は俺と扉の間に陣取って動きそうにない。
「……本当、俺にまだ何か用ですか?」
「用と言う訳ではないんだがな! どうも、阿伏兎が気になって仕方ないみたいでなぁ!」
「どーいう意味ですかい? なんか可笑しなところでも有りますか?」
「いや! そう言う事じゃなくてだな……」
「じゃあ、どーいう……っ!?」
呆れたように溜息付こうとすると、一瞬視界が揺れ……結果的に俺は床へと押し倒されていた。
「な、にしてんですか、勾狼の旦那……っ」
気づけばチャイナ服の中へと収められた、獣の腕。しかも、さらし状に巻かれた包帯を解いてるときた。
押しのけて殺そうと思えば、出来ない事もないが、流石に団長格の相手に手を出す訳にはいかねーよなァ……
「惹かれるのは、お前が兎だからかもしれんなぁ!」
人の話を聞け、そこの狼が!
内心で付く悪態などお構いなしに、包帯緩まり呼吸が楽になる。
それと同時に、前の扉が何の前兆も無しに開く。やっと来たかァ……