RE!

□1
1ページ/1ページ







人間、色々と仕事したり勉強したり運動したりすると疲れてお腹空くものだよね。
私もさっき、咬み殺すばっかり言ってくる男の子に追い掛け回され疲れた訳なんです。私はただ保健室じゃなく屋上にいただけなのにですよ?おかしいと思いません?
彼が言うには、保健医なのに何でサボって屋上にいる訳?保健医は保健医らしくずっと保健室にいなよ。大体、月水金と一週間に三日しか来ないって言うのに何でそう屋上にいくの。もし体育とかで怪我した草食動物なんかが来たりしたらどうすんのさ…っという事らしい。
まぁ、私が言いたいことは…
お腹が空いた。
そう、これだけ。
もっと早く言えば良かったね。途中いらない事ばっかり喋ってしまったよ。
でも、お腹が空いたといって何か食べるものがここにある訳ではない。
たまたま持ってくるのを忘れたんです。
どうすればいいと思いますかね?
購買とか行ってもまた、あの咬み殺すばっかり言う子に見つかったりしたら…今度こそ咬み殺されそうです(そう簡単にやられやしないけど)



「し、失礼します…」



色々と考えていたら、小さな声で男の子の声が聞こえた。
彼は最近小さな殺し屋の家庭教師にマフィアにボスにするためとか言われて日々大変な目に合っている男の子だ。
何故そんな事知っているって?
それは秘密よ。



「あ、あの…雲雀さんにこれを持っていくよう脅さ…頼まれて持ってきました…!」

『…おにぎり?』



脅されて、って言うのは敢えて聞こえなかったとして…おにぎりがパックに三つ入っているのを彼は私に渡してきた。
へぇ、あの咬み殺すばっかり言ってる可愛げのない子がわざわざおにぎりを私に持ってくるように頼んだんだ。そう思うと笑いが込み上げてくるよね。
いきなり声をあげて笑うと彼が吃驚しながらツッコミをくれそうだから声に出さないようにするけど…



『ふふっ…あっははははっ!』



無理、ですね。
彼の顔は何でいきなり笑ったのー!?といった感じだ。しかも凄いあたふたしていて、可愛い。彼(咬み殺す少年)もこれくらい表情豊かになればいいと思うよ。
涙目になるまで笑い続けた私はやっと気が済んだ。



『ご、ごめんね、急に笑い出しりして…っぷ…恭ちゃんも案外可愛いところがあると思わない?沢田くん』

「きょっ、恭ちゃん!?も、勿論雲雀さんの事ですよね…?」

『当り前じゃない。今の話題に彼以外誰がいるの?』

「で、ですよねー…。でも雲雀さんが、可愛い…?(絶対有り得ないからー!!!)」

『えぇ。彼、ハンバーグが好きなのよ?充分可愛いじゃない』

「は、ハンバーグ…」



他には並盛が人一倍好きだとか、小鳥が好きだとか、一人称が僕だとか。普通に可愛いんじゃないかな?
沢田くんはもうずーっと有り得ねぇ!!っていう事ばっかり考えてるけど。



「あ、あの、俺、もう戻りますね」

『あぁ、ごめんね。引き留めるような感じになってしまって。それとわざわざ持ってきてくれて有難う。』

「あ!いえいえっ…で、では」

『さようなら』



失礼しましたーと言って扉が閉まる寸前に小さく声を掛けておいた。
最後に見た彼の顔は物凄い吃驚していた顔だった。
でもそんな彼だけど将来立派なボスになるだろう。



『おにぎり、食べるか…』



誰にも聞こえないくらいの声で言い、パックを開け少し遅めの昼食。
わざわざ持ってきてもらった事に感謝。
頂きます。







(具は…シャケに梅干しに昆布か)
(至って普通ね…)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ