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□花芽出逢いし相の風02
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「へぇー今の俳句は土方の旦那が詠んだものなんですかィ。そらすげーや」

しかしそれに反応したのは運悪くももう一人の沖田で。
よく似た寒気がしそうな黒い笑みを浮かべた二人にしまったと歳三が顔を歪めた

「オイ総司!」
「何ですか?僕は句を詠んだだけでバラしたのは土方さんでしょ?」

注意しようにも彼が言っていることは正当なものでぐ…と押し黙るしかなかった

「粋な趣味ですねィ。土方さんもどうです?詠めそうじゃねェですか?春夏秋冬マヨネーズ、みたいな」

クスリ、と。新撰組コンビの遣り取りを見ていた総悟が十四郎に向かって投げかける

「そんな趣味悪ィこと誰が詠むかよ。マヨネーズは食うもんだ、お前がやっとけ」
「あー俺今なら詠める気がしやす。死ね土方何なら俺が手を掛けて、俺天才なんじゃね?どうですかねェ土方の旦那。あ、こちらも土方さんでしたね、こりゃ失敬」

悪びれずにつらつらと言葉を紡ぐ総悟に二人の土方はひくりと口元を震わせ、もう一人の沖田はクスクスと声を上げて賛同した

「総悟くん中々いいセンスだと思うよ僕は。」
「そうですかィ?沖田の兄貴にそう言ってもらえっと自信持てやした。精進しまさァ」

(もうやめてくれ…)
二人の土方の悲痛な心の叫びが聞こえそうな中和気あいあいと発せられる言葉を聞かないようにすれば和やかな仲睦まじい様子を見せる沖田達。
先刻頼まれた茶を持ってきた山崎はW沖田の遣り取りを見て顔を引きつらせていた


一方さきから傍観をしていた近藤は「本当仲良いみたいだなー。総悟も楽しそうだし」とか呟きながらガハハと平和に…いやKY(空気の読めていない)な笑いに「どう見たって不穏な空気だろ。ていうかこのお二人が組むとか恐ろしすぎるんですけど」と山崎が空笑いを浮かべながら毒づいたのは言うまでもない。

 
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