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□花芽出逢いし相の風02
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「───ということはお二人は異世界から来たって事なのか?」


真選組屯所の一室
応接間に通された先刻の土方歳三(以下歳三)と沖田総司(以下総司)。そこにここの局長である近藤勲、十四郎と総悟も同席し話を伺っていた


「信じられない話だと思うし俺達も未だ混乱している。しかしこの状況を考えればそれが妥当かと」

歳三が近藤に向かい合いそう告げていると隣からずずっと茶を啜る緊張感のない音が聞こえてきた

「すいません。お茶のおかわりもらってもいいですか?」

総司が空になった湯呑みを差し出しながら声を上げれば壁にもたれ掛かっていた総悟が反応し「山崎ィ、茶ァ持って来い」と襖の先に向かって呼び掛けた

「ありがとう、えーっと…沖田くんって言うのもなんだし総悟くんでいいかな?」
「なーに、遠慮は要らねェや。同じ沖田のよしみでさァ」

何時の間にやら気を許したような穏やかな空気の流れる二人に他3人は目を丸くするも束の間「どんなよしみだ。つかお前らいつそんなに仲良くなったんだ?しかもさっき同色云々言ってなかったか?」と十四郎による弾丸的発言があったため先刻までの張り詰めた空気は一変していた。

「だからそれでさァ。同色であり、ただ者とは思えねェ縁ですぜこりァ」
「さっき刃交じえた時に、ね。さしずめ梅の花一輪咲いてもうめはうめってとこですかね?」

ちょっと違いはあっても境遇はほとんど同じみたいじゃないですか、僕ら。あ、意味違います?と総司が歳三に対してにこやかな笑みを向ければキッと睨み叱りつける

「だーから、何回言やァ分かる!勝手に毎回そうやって人の句を詠むなって言ってんだろ。上手くねェのは分かってんだから出すんじゃねぇ!」


 
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