おお振り

□初めての恋が終わる時
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やだやだ。
行かないでって
泣いて叫んだら
君は行かないでくれるかな。

そんな事、言えるはず無いけど。

「じゃあな。泉」
「おう。一人でも野垂れ死にすんなよ」

するわけないだろ!って怒ったように言う君も何だか寂しそうで、
嗚呼。愛しい、愛しい。
想いが溢れて飛び出しそう。
駄目だと想いに蓋を閉めても溢れ出す。
口から零れてしまいそうな沢山の言葉。
行かないで。
君が好きだよ、
だから側にいて。

思い返すのは
楽しかった日々の数々。
クリスマス。
君と一緒だからかいつもよりイルミネーションが綺麗に見えた。
初雪だとはしゃぐ恋人達が羨ましくて、思わず作った手編みのマフラー。
結局渡せなかったけど、全て大事な思い出だ。

鼻の奥がツンとした。
目頭が熱くなる。
涙が溢れそうになるのを精一杯我慢する。
にっこり笑って、願う。
どうか涙が零れませんように。


「じゃあそろそろ…」


といって浜田は手をだす。


「なんだよ」
「握手だろ握手!」


まったく素直じゃないな〜と悪態つきながらも笑ってる。
繋いだ手から想いが伝わりそうで離したくなったけど
離してくれなくて。

やめてよ。
やめてよ。

期待しちゃうじゃんか。
浜田を見ると泣きそうな顔をしていて…

駄目だ。
もう駄目。
蓋をしたところから想いが溢れ出た。

「浜田!俺っ……」


気持ちを伝えかけて、俺はとまった。
いや、とめられた。
遠くでベルの音がなる。
俺と浜田の距離は今0(ゼロ)。


たまらずに涙が溢れた。


-初めての恋が終わる時-


(お願い。今だけでいいからぎゅってしていて)


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