同人GLハード
□唇 Part2
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ナミにとって懐かしいはずの故郷、ココヤシ村が見えてきて嬉しいはずなのに、ナミは強張った顔をして、ある場所だけを見ていた。
船を降りたナミは向かうべき場所へ急いだ。
ココヤシ村で、いやこの世で一番関わりたくない一味がプールサイドでワイワイ騒ぎ、飲んだくれている様子を見たナミの表情はより一層強張った。
「アーロン!!これ今月分よ」
仁王立ちでベリーの入った袋をアーロン目掛けて放り投げた。
「おぉナミじゃないか。やっと戻ってきたか。逃げ出したかと思った」
ノコギリ鼻を持つ魚人族のアーロンがそう言ってナミを迎え入れると一味全員が笑った。
アーロン一味の仲間になるしかココヤシ村を守る方法がなかったナミは、海賊達から財宝を盗みココヤシ村を取り返すためにアーロンに毎月、その財宝をベリーに変えて半分だけ渡していた。
残りの半分は村のみんなのためにと思ったナミは、ベルメールのみかん畑に隠していた。
「ところで今月分はこれっぽっちか?」
アーロンは鋭い瞳でナミを睨みつけた。
ナミは怯えながら頷いた。
「あまり稼ぎが悪いと、ここから俺達を追い出せないぞ」
そう言うとアーロンは高々に笑った。
ナミはグッと怒りを押さえ拳を握ったまま、敷地を出ようとしていた。
「おぃナミ。どこへ行くんだ」
背を向けたナミにアーロンは冷たく言った。
「お前の部屋で待て」
その一言を耳にしてナミの表情は恐怖で真っ青になった。