オリジナルBL

□ちはや -千早-
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正に誰からも好かれるタイプ。
…一番嫌いなタイプだ。
奴の周りはいつも人が大勢囲んでいた。

3ヶ月が経った頃。
何となく珍しくサボらなかった体育で、奴のいるチームとバスケの対戦をすることになった。
僕はいつも体育はサボりだったから、人数の足らないチームに勝手に入れられていたようだ。
…見るからに…運動神経の無さそうな…メンバーだ。
僕も全くやる気なんか無かったし、コートでチームメンバーの奴らと同じようにボーッと立って、奴のチームが点を入れていくのを見ていた。
暫くして急に奴が怒り出した。
「やる気あるのか!」
いや、無いし。
他のメンバーは、「あるよ」とかほざいてる。
それをアホくさいと思いながら見ていたら、僕を睨んできた。
「お前、本気出せよ」
「…本気出そうが出さまいが勝手だろ」
…初めての会話が喧嘩腰。
バスケのボールを思いっきり投げつけてくる。
避けても良かったんだけど。
受け止められないと思われるのも何となく嫌だったので、バシッと大きな音を立ててボールを受けた。
奴はちょっとびっくりした様子で、
「…お前やるじゃん…」
と笑った。
「ほら、続きやろうぜ」
僕はため息を吐いて、仕方なく付き合ってやることにした。
やる気はあるらしいチームのメンバーに言う。
「お前ら、ボールを取ったら俺に回せ。点入れてやる。」
ゲームは僕と奴の1対1の対戦のようだった。
普段なら「みんなで」楽しむような奴が、1人で勝手にプレーしている。
結果は僕の負け。
初めに取られてた分が取り返せなかったからだ。
試合後、僕に向かって笑いながら言う。
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