オリジナルBL

□恋愛の時間 -夏希-
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俺は、遠江 夏希。
この春、鈴波高校へ進学し、小さい頃から続けていた剣道部に入部。
それから1ヶ月が過ぎた。
朝練が終わって、着替えをすませて部室のドアを開けると…

「なっち〜今日もカッコイイ!!」
語尾にハートを飛ばしながら駆け寄ってくるのは、隣のクラスの石河 りょうこ。
入学式の日からいきなり声をかけられた。
最近聞いた話、彼女はかなりの男好きらしい…。
気に入った男に彼女がいようがいまいがお構い無しで、今まで何組のカップルを引き裂いたか…と言われている。
確かに彼女は小柄で可愛い感じだ。ちょっと馬鹿なところも、まぁ、可愛いと思わせる魅力になっている。…と思う。
「カッコイイのは俺のほうだろ?」
背後から声が聞こえて振り返ると、同じように着替え終わった来栖 雷が腕組みしながら俺とりょうこさんを見ていた。
「雷もカッコイイよ!!」
りょうこさんは来栖に対しても同じようにハートを飛ばす。
最近は毎日のように続いている。
日課のようなものだ。
「りょうこさん、おはよ」
軽く挨拶する。
「なっち〜おはょう!!」
りょうこさんは俺に声をかけられて、凄く嬉しそうにしている。
「りょうこ、今日も相変わらず可愛いな」
「ほんと!?ありがと〜」
りょうこさんは来栖に褒められて頬を赤らめる。
「夏希も、今日も相変わらず美人だな」
「…」
美人…
男なのに美人だ、綺麗だと言われ続けてきた俺にとって、この言葉は嫌がらせでしかない。
毎日のようにこういった言葉を俺に言うこの男には、少々うんざりしていた。


来栖と初めて会ったのは、中2の時の剣道の大会だった。
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