オリジナルBL
□Sunset Color
1ページ/7ページ
高校に入って、ひと月が過ぎた。
他の中学から来たみんなとも打ち解けて、グ ループが出来て落ち着いてきた頃。
1日の終業を告げるチャイムが鳴った。
バタバタと教室を出ていくクラスメイト。
一番後ろの席。机の上で突っ伏して寝ているのは、麻倉郁弥。
「郁弥!帰ろうぜ!」
「無駄だって。コイツ爆睡してるときって何やっても起きねーよ。」
揺すったり、頭を叩かれているのに全く起きる気配がない。
麻倉とは何度か話したことがある程度で、特に仲が良いわけでもなければ、プライベートで遊んだりなんてこともない。
そもそもタイプが違う。
麻倉郁弥は、どちらかと言うとアグレッシブな体育会系タイプ。
そして、真面目な優等生タイプ、湊川遥斗。
今日はたまたま、麻倉が寝ていて起きず、友人に先に帰られてしまい、
今日はたまたま、湊川が学級委員で、教室の鍵を閉めなければならず、
仕方なく麻倉が起きるまで本でも読んで待っていようと、彼の隣の席に座って小説を読み始めた。
どれくらいの時間が経ったのだろうか。
教室は暖かい光でいっぱいになっていた。
オレンジ色の光が教室中に広がって、思わず、
「キ…。」
「キレイだ。」
隣から聞こえてきた声に驚く。
今、同じタイミングて同じ言葉を言おうとした。
彼はいつの間に起きたんだろう。
小説を読むのに集中しすぎていて、彼がいつ起きたのかも気付かなかった。
「おはよう…。」
そう遠慮がちに声を掛けると、こっちを見て、
「おはよ。」
と笑い掛けてきた。
「なぁ。こっち、来てみろよ。」
言われて、彼の隣に移動する。
太陽がゆっくりゆっくりと沈んでいく。