オリジナルBL

□rain 3
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「・・・私のこと、嫌いになったわけじゃ、ないよね?」
「嫌いには、なってないけど・・・。」
「良かった。嫌われたんだったら、どうしようかと思った。」
「・・・。」
そんな言い方、狡い女だ。
・・・嫌ってはいないけど、好きでもない。
初めから彼女のことは「好き」じゃなかったんだろうな、なんて。今だから思える。
「一希くん、デート、しようよ。」
「・・・。」
「ずっと、私のこと放っておいたんだから、一日位付き合って。」
・・・どうやって断ろう。
好きな人が出来たって言って、叩かれるなり殴られるなりして別れてしまおうか、なんて考えていると、「次の土曜日。決定ね。」と言って、頬にキス、された。
そう言えば、沙耶香は付き合う前から大胆な奴だったな、と思い出す。
「約束だよ。」、と言って去っていく彼女を見て、溜め息が漏れた。





「今日はもう、来ないと思った。」
あと数分程で休憩も終わってしまう。
少し悩んだけれど、夕紀に会いたくて来てしまった。
「飲む?」
夕紀から珈琲が注がれたカップを受け取って、椅子に座った。
「さっき、女の子と一緒だったね。」
!!
「・・・どうして知って・・・?」
「だって。ここから見えたから。」
夕紀が指を差した窓を見ると、中庭の様子がはっきり見えた。
夕紀に全部、見られていたのだろうか。
「あの子が一希くんの彼女?」
「俺の中では終わってるんですけど。」
「彼女の中では終わっていないっていう言い方だね。」
「・・・。」
夕紀はくすっと笑って、カップに口付けた。
何も言えずに夕紀を見つめていると。
「良いじゃん。彼女、可愛いし。」

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