オリジナルBL

□rain 2
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ただの、先生と生徒の関係。
それでも、夕紀に会えるのは、素直に、嬉しい。
「こんなところで、何やってるんですか・・・?」
「当番だよ。」
時々、登校時間に先生が校門で立ってるのは当番制だったのか。
にしては、同じ先生ばかり立っている気がするのは気のせいなんだろうか。
「今日のお昼は、来る?」
「・・・?」
「デート先、決めようよ。」
「!」
「夕紀先生ー!おはよーー!」
数名の女子生徒が駆けてくる。
「おはよ。」
夕紀が、彼女達に笑顔で手を振る。
・・・・・・。
それだけで、面白くない。
校舎に向かって歩き出した時、夕紀が、
「また、後でね。」
と囁いた。



夕紀のいる、元美術準備室。
入りづらくて立ち尽くしていたら、急に扉を開けられた。
「待ってたよ。」
部屋からは珈琲の香りと、夕紀の、煙草の匂いがする。
「一希くんがなかなか来ないから迎えに行こうと思ってた。」
「迎えにって・・・。」
「もしくは、校内放送で呼んじゃおうか、とか。」
「それは、ちょっと・・・。」
夕紀は笑って、部屋の奥へ戻っていく。
扉を閉めて、夕紀の後を追う。
いつもの椅子に座って、手渡された珈琲を啜る。
昨日、あんな告白をしてしまったのに、夕紀が今までと変わらなく接してくれることにほっとする。けれど、少し、寂しい。
それでも、避けられるよりはマシだ、と言い聞かせる。
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