オリジナルBL
□rain 2
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じっと見つめる一希を見て、夕紀はぷっと吹き出した。
寂しそうな顔でもしてしまっていたのだろうか。
「明日も会えるのに。」
なんて言って、指で鼻をつつかれた。
「映画でも行きませんか?」
いつものように昼食を食べ終わった後、夕紀のいる元美術準備室に足を運ぶ。
中から夕紀では無い女性の声が聞こえて、ドアを開けるのを躊躇った。
「良いよ。」
・・・・・・・・・。
夕紀の声。
これって、デートの誘い?
それを夕紀がOKしたってこと・・・?
「じゃあ、藤咲先生。日にちはまた改めて・・・。」
誰かが出てくる気配がして、・・・走って教室へと引き返した。
部活練習を終えて、部員が帰った後、誰もいなくなった体育館の鍵を閉めていると、
「今日は気合入ってたね。」
後ろから急に声を掛けられた。
「夕紀さん・・・。」
夕紀のデートのことが気になって、考えないようにする為に今日の練習はハードにしてしまった。
部員は悲鳴を上げていたけれど、そんなのは知らないフリをした。
「今日はお昼どうしたの?」
待ってたんだよ?なんて言われても、素直に喜べない。
「なんでもないです・・・。」
さっきの人は誰だったのか、気になって仕方ない。
「あ、お昼、彼女といたの?」
だったら、仕方ないなぁ。なんて笑いかけられて、思わず睨んでしまった。
「それは、夕紀さんじゃないんですか・・・。」
「え・・・?」
「俺のこと、遊んでるんですか?」