オリジナルBL
□rain 2
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「そういえば、近くに美味しいラーメン屋さんが出来たんだってね。」
「?」
「今朝、君のクラスの子が言ってたんだけど。何て名前だったかなぁ。」
「与次郎、ですか?」
「そうそう、そんなの。今日って部活何時まで?」
「・・・・・・7時まで、ですけど。」
「じゃ、待っててあげるよ。」
「え・・・・・・?」
いきなりの誘いにびっくりする。
「今度は送ってあげないよ?」
なんて、綺麗に笑ってくる夕紀に心臓が鳴った。
「本格的なんだね。・・・賑やかだし。」
「今年入った一年が凄いんですよ。」
「へぇ。」
与次郎のラーメンを啜りながら、部活の話をしているのは、夕紀がふらっと剣道部を見に来たからだ。
「去年卒業した遠江先輩の弟なんですけど、これがまたすごく強くて。」
「ああ、さっきの。」
「そいつと張り合ってる来栖も結構強い奴で。今年はもしかしたら上位入賞狙えるかもしれません。」
「一緒にいた女の子は?」
「夏希のファン?みたいですけど、よくわからないです。来栖のことも好きみたいだし。」
夕紀が思い出してくすっと笑う。
「ふうん。賑やかだったね、あの子。」
「練習の邪魔ですけどね。」
「良いじゃん。部長さん。固いこと言わない。」
「本当、ここのラーメン、美味しかったね。」
ラーメンを食べ終わって、建物の外に出ると、夕紀が満足そうに笑いかけてきた。
「俺、送ります。」
「え・・・家すぐそこだし、僕、おっさんだよ?」
「夕紀さんをおっさんなんて思ったこと無いです。」