オリジナルBL

□歩 -春菜-
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喋り方も随分変わった。
中学2年になった時、千早は生徒会に入った。
その頃から、千早の「俺」は「僕」になった。
「夏希が中学入ってから、自分の分のついでに作ってくれるようになったんだ。」
「へぇ〜。夏希くん料理得意なんだ?」
「得意っていうか、趣味らしい。よく菓子作ってる。あれは母親似だな。」
顔も女っぽいし。
「僕はあんまり得意じゃないからなぁ。春菜に作ってあげられないや。」
ちょっと残念そうにパンにかじりつく。
「そういや千早・・・彼女でも出来た?」
いきなりの話題転換に千早はびっくりする。
「えっ?どうしたの急に。」
「いや、よく女子といるのを見るから・・・。」
千早の口から、「出来た」なんて聞きたくない。
・・・けど、気になって仕方が無い。
「ただの友達だよ。」
ほっとする反面。
千早の口から出た、友達っていう言葉に少し驚く。
今度は千早が話題を変えてきた。
「ね、春菜、この高校、文化祭に女装コンテストがあるんだって。」
「?」
「なんか、クラスの文化祭実行委員の人からスカウトされちゃった。」
「ええっ!?」
千早が女装とか、洒落にならないって・・・。
「それで、OKしちゃった。」
「えええええ!?」
「優勝したら、春菜が僕のこと連れて逃げてくれたら良いなぁ。」
開いた口が塞がらない。
中学の時の千早からは考えられない行動だし・・・。
「愛の逃避行だよ。」
なんて、笑顔でパンをかじりながら言ってるし!
千早なら。・・・優勝すると思う。
「そういうの、嫌いじゃなかったっけ・・・。」
「え?逃避行?」
「いや、女装とか・・・。」
顔のことを、とやかく言われるのが一番嫌ってたはずなのに。
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