オリジナルBL

□rain
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その後は特に会話もなく、窓に激しく打ちつける雨音を聞いていた。
何事も無かったように夕紀は隣に座って窓を見つめている。
「ねぇ、雨、ますます強くなってきたね。」
急に話しかけられた夕紀の言葉に、もうそろそろ帰らなければ、携帯に親からの着信が入るかもしれないと考える。
「……そう、ですね。」
時間を確認しようと、鞄から携帯を取り出そうとした時、夕紀が、一希のシャツを引っ張った。
「…………泊まってく?」
意図がわからなくて、じっと見つめると、夕紀はふっと笑った。
「…今のは、誘ってるんだけど。」
「…………え?」
夕紀はそっと目を閉じた。
「…………。」
誘ってるんだけど。と言った夕紀の言葉が頭の中で何度も繰り返される。
…一希は少し戸惑いながら、夕紀の唇に口付けた。
夕紀は笑って、触れるだけのキスを返してきた。
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