オリジナルBL

□rain
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「一希くんて何か部活でもやってるの?今、春休みでしょ?」
「・・・剣道です。今日は練習は無かったんですけど。」
「へぇ。カッコイイし、モテるんだろうねぇ。」
「藤咲さんのほうが、キレイだし、モテるんじゃないんですか?」
「・・・どうだろうね?」
少し下の位置から見上げられる。濡れた唇に視線が釘付けになってしまう。

「…誘ってるんですか…?」

思わず口から出てしまった言葉にハッとして、真っ赤になりながら手をブンブン振って否定する。
「今のは違っ…!!」
じっと見つめられた後、急に笑い出した。
「あははは!何それ!それとも、一希くんって、そっち系?」
「違います!…藤咲さんがそんな格好で……。」
「?」
「……そんな下着一枚で、こんなに近くにくるから……。」
「え…。だって自分家だし…。」
「自分の家ったって、誰か来てるときくらい服着てください。」
………恥ずかしい。
あんなこと考えてるなんて思われてしまったことが一番恥ずかしい。
「こんなオッサンが裸でうろついてたって別に良いじゃん?」
仕方なく立ち上がった夕紀は、タンスからシャツを取り出した。
確かに年上だろうとは思うけど、オッサンだ、なんて全然思わないし、こんなに綺麗な人が、裸なんかでうろつかれたら妙に意識してしまって…困る。
夕紀は短パンとシャツ、頭にバスタオルを乗せた格好で、一希の隣に戻ってきた。
「これで良い?」
「まぁ…さっきよりは・・・。」
何それ。と笑った彼の髪の毛から水滴が落ちた。
「ちょっと…。髪、全然拭けてないじゃないですか。」
手を伸ばして彼の頭をバスタオルでわしゃわしゃしてやる。
「ちょっ…。髪、くしゃくしゃになったらどうするのさ?」
「…そしたらブローしてあげます。」
「…一希くんて、結構お節介なんだねぇ。」
「…それなら藤咲さんも、でしょ?」
彼は、あははと笑って、頭を預けてきた。
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