オリジナルBL

□叶 -春菜-
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「もう電話しないでって言ったよね。」
・・・。
「・・・俺、帰るわ。」
立ち上がってドアを開ける。
「春菜!」
千早の声を無視して、俺はドアを閉めた。



あれから千早はどうしたんだろう。
自宅に帰るまで、そればかり考えていた。
台所に行って冷蔵庫を開ける。
ビールが目に付いた。
千早は酒も強いんだろうなぁ・・・。
・・・さっきの電話って、千早の彼女・・・だった、のか・・・?
ムカムカしてしまって、すぐ帰って来てしまったけれど。
大人気なかったな・・・。
軽くため息をついた。
夏希が台所に入って来た。
また、菓子でも作るんだろう。
夏希は、高校に入ってから毎日菓子を持っていくようになった。
好きな奴でも出来たんだろうか。
それとなく聞いてみたくなった。
「彼女でも出来た?」
聞いても夏希は冷静に答えるだけだったので、ふざけて言ってみた。
「・・・彼氏とか?」
夏希は急に驚いて、持っていたボウルを落としそうになった。
・・・彼氏が出来たのか?
それとも、ただ、彼氏が出来たか、なんて聞かれたことにびっくりしただけなのか。
・・・。
もし彼氏が出来たんだとしても・・・。
俺だって千早と付き合ってるんだから・・・。
・・・付き合ってる・・・んだよな・・・。
相変わらず千早はモテる。
部屋に戻って持ってきたビールを一気に半分流し込む。
はぁ・・・。
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