タイトル企画
□温もり
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『したことない』と打ち明けてから一週間。
なんの変哲もなく毎日は過ぎて、ただ変わった事と言えば婚約を公にしたからオッパが少し疲れていること。
毎日のようにカメラに追われるのは考えてる以上に疲労が溜まっているはず。
「+++〜ただいまぁ」
それでも満面の笑顔で帰ってきてくれるオッパがとても愛おしい。
疲れをとってあげる事は出来ないかな、何かしてあげられる事はないかな。
そんなことを毎日考えてみる。
ベットに入ればすぐに寝息をたてる寝顔を弱く撫でた。
仲良しのウニョク君とかソンミン君に相談してみようかな、オッパが心休まるのは何か知ってるかもしれない。
明日早速メールしようと決めて、オッパの腕に埋まった。
「「傍にいるだけでいいと思うよ」」
連絡を取って、誘われるまま宿舎へと足を運び、二人に相談してみると見事にまぁハモっていただけました。
シンドンオッパはラジオのお仕事で宿舎にはおらず、今宿舎内はここにいる3人だけみたい。
「だってドンヒ君口を開けば+++が、+++がって…もう一種の病気みたいだもん」
「確かに!ほんとさぁ、独り身の僕達を考えてって感じだよね」
「え…そんなに…?」
「「うん」」
衝撃の事実です、オッパは普段何を皆に話してるんでしょう…。
「…なんかごめんなさい…」
いたたまれない気持ちになって頭を下げるとソンミン君は静かに笑った。
「だから、無理に何かしなくていいんじゃない?ドンヒ君は+++ちゃんがいればいいって言うよ、絶対」
そう零して、ウニョク君も綺麗な歯茎を見せて笑った。
いいのかな、それだけで。
私はオッパを癒せてるのかな。
「シンドンオッパに、そう言ってもらえたら、いいなぁ…」
むず痒くて、なんだか温かい気持ちに口許をふよふよさせていればソンミン君が短く声をあげた。
「…+++ちゃんって、もしかしてずっと“シンドン”って呼んでるの?」
きょとんとソンミン君を見れば何か考える素振り。
ウニョク君は何か閃いた様子で、二人は顔を見合わす。
にっこり笑った二人が可愛いな、なんて私はどこか他人事。
「ただいま」
キッチンで夕飯の準備をしていれば後ろから控えめな声が聞こえた。
火を止めて振り返ればやっぱりどこか疲れた笑顔のオッパ。
近くに寄ると腕を取られてふんわりと抱きしめられる。
なすがまますっぽりと収まって、広い背中に腕を回した。
「んー…」
「今日もお疲れ様、オッパ」
肩口に顔を埋める背中をとんとん叩けばオッパの力が強くなる。
なんだかいつもより甘えたがり。
首筋に吐息がかかってくすぐったい。
「+++…」
静かに名前を呼ばれて、僅かに身体を離せば下から掬われるようにオッパの唇を重ねられた。
宛がうだけのキスにぼんやりと久しぶりだなんて思っていれば、するりと咥内に生温いものが滑り込んでくる。
「…っん、ぅ…ふぅ…」
逃げるように首を伸ばしても、上から被さるように覆われて逃げる事が出来ない。
初めての事に息の仕方すら忘れてしまって、強くオッパの腕を握り締めた。
ようやく離れた身体に戸惑いを隠せなくて力の入らない眼で彼を見れば、少々気まずそうに微笑む。
「ごめん、そろそろ…無理かも」
後頭部へ手を差し込んできたのを合図に、また微かに身体が寄せられる。
赤く色付いたオッパの唇に心臓がこれでもかと跳ねた。
「…っドンヒ、おっぱ…」
初めての甘い空気に恥ずかしくて、熱くて、浮ついたまま名前を口にすれば上にある顔がふにゃりとふやけた。
愛しい、触れたい。
気恥ずかしさよりも触れたい思いが強くて、自分からオッパの口許へ唇を寄せた。