タイトル企画
□今からきみに告白します
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「+++、これ見よ」
そういって遊びに来たトゥギオッパが映画のDVDをカバンから取り出した。
特に外へ遊びに行きたいとかもなかったので、何の映画か確認もせずいいよ。と二つ返事で頷く。
やった!と喜んで早速DVDケースを開く背中が妙に可愛くて、笑いながらテーブルにお茶の入ったコップを置いた。
隣に並んで座ってDVDケースを覗き込む。
「なんの映画見るの?」
「これ。キュヒョンに教えてもらったんだ」
目の前で見せてもらったDVDを手に取ってじっと見つめる。
それは最近カップルに人気のラブストーリー映画だった。
元々自分が見たいのもあったから、これはこれで構わないのだけど…。
問題がひとつ。
「トゥギオッパ…やめたほうが…」
「えー今更!再生しちゃったよー」
リモコン片手に唇を突き出してるのは可愛くてたまらないんだけど、でも…!
「えー…だって、絶対オッパ泣くよこれ…」
見た人は泣いてしまうというのもこの映画が有名な理由でもあって。
グループ1涙もろいと言っても過言じゃないオッパがそんな映画を見たら、グチャグチャになってしまう気がする。
「泣かないもん!」
もん!って…。
予告をあれよあれよと飛ばす姿に溜息をついて、お茶に口をつけた。
「どうなっても知らないよ?」
「泣かないったら!」
「…うそつき」
映画も半分を過ぎた頃。
さっきの威勢はどこにいったのか、案の定オッパは隣で一生懸命鼻をすすっている。
しかも宣言した手前、泣いてるとばれたくないのか顔を無理矢理強張らせていた。
あまりに我慢するから顔がアイドルらしからぬ酷い事になってる。
さすがに見るに見兼ねて箱ティッシュを手探り寄せた。
2、3枚ティッシュを抜いて隣のほっぺたに押し付ける。
「っん!」
「もー、だから言ったじゃん」
ティッシュにくぐもった声を出すオッパの顔を丁寧に拭いてやる。
抵抗するかと思えば、静かになすがまま眼を閉じた。
その反動で瞼に溜まった涙が一粒零れる。
それをティッシュで辿れば唇がまたアヒルになっていた。
「感動しちゃったの?」
新しいティッシュを手に取りながらオッパの顔を振り返れば、眼も頬も、鼻のてっぺんまで赤くなっている。
これで鼻ちーんして。と渡すとか細い声で返事をした。
「…こんな予定じゃなかったのに…」
鼻をかみながら微かな声で何かを言うオッパに首を傾げたらなんでもない。と何故か頭をうなだれる。
箱ティッシュを膝に置いて、視線を映画へと戻した。
ありきたりな展開で進む映画は泣きを誘う展開に転がり込んで、でも何故か面白そうだと思ったのに実際はあまりそうでもなく。
なんでだろう。とぼんやり場面展開するものをただ見詰める。
「…+++…つまんない?」
それが顔に出てたのか幾分赤みの引いた顔でオッパがこちらを向いた。
「大丈夫だよ?」
「あ、その言い方絶対つまんないんだ。そっか、違うのにすればよかったなー」
「ええ?キュヒョンに進められてオッパが見たかったんでしょ?」
言うが早いか、早速DVDを止めようとする腕を掴むと、振り向いた顔は心底不思議そうな表情を浮かべていた。
「+++に楽しんでもらおうと思ったけど、つまらないんじゃ意味がないから」
「オッパは?泣いてたのに…」
そう一言言えばそれは余計!と頭を突かれる。
「じゃあ+++は…これ見て何も思わなかった?」
デッキから出て来たディスクを片手に首を僅かに傾げた。
言わんとしてる事が分からなくて自分も同じように首を傾げる。
それを見たオッパはどこか可笑しそうに笑ってディスクをケースへと仕舞った。
「じゃあ+++の理想の告白のされ方は?」
「は…告白?」
そう。と頷きながら隣に座るオッパは随分楽しそう。
訳が分からなくて理想をぼんやりと頭に考えてみる。
でも理想とやらがなんのか分からなくて、結局また首を傾げただけだった。
「告白されたらなんかもう充分な気がするけどなぁ…」
率直に思った事を口にすれば隣でオッパがまた笑った気がする。
「オッパ?」
「それって今俺が言っても有りってコトだよね?」
主語なんて全くないのに、オッパが何を言おうとしてるか理解してしまって、膝に頬杖ついたトゥギオッパから即座に目線を外した。