タイトル企画
□終わらない恋になれ
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朝早くにベッドを抜け出して、ボサボサの頭でキッチンに立った。
オッパとお揃いで買ったパジャマの裾を腕まくりして、調度炊き上がった炊飯器を見詰める。
この日の為に用意したお弁当を棚から取り出しては満面の笑み。
よし、張り切って取り掛かろうじゃないか。
三段にもなる重箱みたいなお弁当箱を埋めるにはそれなりの量が勿論必要で。
冷蔵庫の中にはそれを埋めるための材料がぎゅうぎゅうにいまかいまかと待っている。
天気は晴天。
絶好の公園デート日和だ。
オッパのお腹を満たすため、折角の休日を満喫してもらうため、今日も腕を振るってやる。
「いつも+++のお弁当楽しみなんだ〜」
だだっ広い一面野原の隅っこ、大きな木の立つ下に大きめなレジャーシートを広げておしぼり片手にドンヒオッパが嬉しそうに声をあげた。
軽く園内を散歩してお腹が減ったと泣きそうなオッパに急いでご飯の準備。
お箸を渡してお弁当の蓋を開けた。
「う〜ん、今日もおいしそ〜」
三段分広げれば頬を緩ませふにゃりと笑うオッパに、影でガッツポーズを決める。
この瞬間があるから、作ったかいがある。
「食べていい?」
「うん、どうぞ」
自分もお箸を握って、でも先に彼の咥内へ飲み込まれていくものをじっと見詰めた。
「ん〜〜、おいし〜」
口をモグモグ動かしながら幸せそうな満面の笑顔。
よし、今回も任務達成。
オッパの見えないところでもう一度ガッツポーズを決めた。
美味しい美味しいとペろりとお腹に消えてしまったお弁当達にオッパも私も大満足。
「お腹いっぱいになった?」
空になったお弁当箱を片付けようと手を伸ばせばやんわりとその手を制された。
広がるものを重ね、元の形にオッパが戻してくれる。
ありがとう。と言えば優しく笑った。
「凄くお腹いっぱい。+++ありがとう」
その言葉とくしゃっとなった笑顔だけで朝方の努力が報われる気がする。
オッパは凄いなぁと片付けられたお弁当箱を鞄に仕舞おうとすると上から影がかかった。
立ち上がったのかと視線をオッパに向ければ、口許を緩ませたオッパが両腕を広げてこちらを見ている。
「おいでー」
一言そう言われれば断る理由もなく、二人の間にあるものを退けて待ってる温もりにおもいっきり抱き着いた。
すぐに少し肉付きのいい腕が背中に回される。
なんとも言えない心地好さに安堵の息をつけば、優しく背中を叩かれた。
きっとオッパ以外の人にそんな事されれば怒るのに、なんでかオッパにしてもらえると酷く安心する。
だきしめたまま微かに身体が揺れる感触が気持ちよくて、身体全部を預けて瞼を閉じた。
「眠いね」
そんな私を分かってるみたいに微かな声を落とすから、余計眠気が深くなる。
本格的に夢を辿り始めた頃、遠くでオッパが笑った気がした。
「来年も、そのまた来年も、二人で来ようね」