タイトル企画
□その笑顔は反則だから
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今日も見付けた、大好きな背中。
「ウニョクオッパ!」
「だから…+++、何度言えば分かんの」
広い芸能事務所内にある廊下で振り返ったSJのウニョクオッパは心底呆れた顔をしていた。
ああ、今日も格好いいな、なんてその呆れた表情を見上げる。
「いつの間に金髪にしましたか!格好いいですね!さすがオッパです!」
前回逢ったのは2週間近く前。
その時とは全く違う毛色に歓喜の声をあげれば更に深く溜息をついた。
「褒めてくれたのはありがとう。でもさ+++、」
左手を腰に置いて頭を掻く。
それはオッパのいつものポーズ。
「知ってますよ。声を掛けるのもダメなんですか…?」
先に言われるより自分から先手を打って、困らせるのを分かっているのにしゅんと落ち込んでみせた。
オッパは優しいから。
そんな私を見て無下に出来ないと知っていて、いつもこうやって困らせる。
「違うよ、そうじゃない…ごめんな」
謝りながら頭を撫でてくれるこの掌が好きだから、いつも困らせる。
ごめんなさいオッパ。
オッパの彼女さんみたいに出来た女性に私はなれない。
「+++、これから収録でしょ?ちゃんと笑えよ」
ほら。と両手で頬を引っ張られた。
「あいひあうあー!」
「いやいや、何言ってるのか全っ然分からないから」
両手を離されてほんのり色付いた頬を撫でながら睨みつければ、目の前の人は酷く綺麗に笑って頭をくしゃりと撫でる。
「収録、頑張れ」
すぐに踵を返して廊下を歩いていくオッパを、ただじっと見詰めていた。