タイトル企画

□バカ、意識しすぎ
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長いこと片想いしていたソンミン君と、気付けばお付き合いをさせていただける事になりました。

しかもきっかけは向こうから。

これを幸せ以外なんと言えばいいかな。

「+++ちゃん、帰ろ?」

いちスタッフである私の帰りを楽屋でじっと待ってるソンミン君に今日も想いが強くなる。

柔らかく笑って荷物を持ってくれる優しさに、極端に泣いてしまいそう。

「疲れてるのにありがとう」

そう零せばソンミン君はお互い様でしょ?とまた笑った。

優しくて、ステージの上では格好よくて、仲間思いで、そんな素敵な人が彼氏さんなんて。

なんて贅沢なんだろう私…!

並んで歩く姿を見る事も出来なくて身体を強張らせたまま、優雅に歩く彼の隣をひたすら辿る。

緊張のせいか彼に離しかけられても短い相槌しかうてず、只今絶賛凹み中。

「……ゃん?」

「うう…私はもうダメ人間なんです…」

「え?なにが?」

「え?」

顔を上げると少し前を歩いていたソンミン君が、不思議そうな顔でこちらを向き直って立ち止まっていた。
 
どうやら自虐的台詞を口にしていたようで、数秒前の自分が恥ずかしい。

「…+++ちゃん」

逸らしていた視線をソンミン君に戻せば、彼はいつの間にか目の前に立っていて、こう並ぶと見上げがちになってしまう。

普段あのメンバーで並ぶと周りが周りだからかあまり高く見えないのに、やっぱり高いんだと思った。

更には彼が目の前過ぎて、カッコ可愛い整った顔が予想外に近すぎて心臓がどきりと音をたてる。

くるんとした睫毛とか、すべすべの肌とか、薄い唇、とか。

自分とは全く違う、綺麗なそれらに心臓が煩く鳴いてしょうがない、のに。

「…っわ」

骨張ってるのにどこか綺麗な彼の両手がほっぺたに添えられて変な声を上げてしまった。

ソンミン君の視線が少し下がって、倣うように微かに視線を下げると僅かな力で顔を持ち上げられる。

ドラマで見るような展開にぎゅっと眼を閉じると彼のそれが私のものに軽く触れた。

一瞬で離れていく温度に詰まった息を微かに吐けばすぐにその距離をまた埋める。

慣れない感触にまた眼を閉じても鮮明すぎる行為に足が少しふらついた。

「っん…ぅ」
 
隙をついて奥に入り込んでくる粘膜に鼻から妙な声が漏れる。

それが恥ずかしくてソンミン君の手首をきゅっと握った。

「…ふふ」

行動で察してくれたのか、すぐに離れたソンミン君は楽しそうに声を漏らして笑う。

「+++ちゃん可愛い」

ぺろりと呆けた私の唇を軽く舐めて額をくっつけた。

今更自分達が人の通る通路でこんな事をしていたなんて自覚してきて、目の前のソンミン君を恨めしく睨む。

それでも彼は私の視線を無視して距離を保っている。

「そんな緊張されちゃったら、余計手を出したくなるじゃない」

なんだか彼のもうひとつの顔を知って密かに喜んでしまう自分は、頭のなかが相当ソンミン君でいっぱいみたい。







 

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