タイトル企画
□残念ながらベタ惚れ
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今日は仕事が遅入りだからと、昨日からヒョクチェが泊まりにきていた。
「…うにょくー」
「うん?」
泊まりなんて滅多に出来ない事で、いつもより長く一緒にいられる事が嬉しくてそわそわと落ち着かない。
「うにょくうにょく」
「え…?なに?」
朝起きてもヒョクチェが隣にいることがこんなにも嬉しいなんて。
「うにょく」
「+++?」
名前を呼べば返事が返ってくる事に口許が緩んでしまうのをとめられない。
なんて幸せな時間。
この時間がもっともっと続けばいいのに。
「うにょ」
「+++」
もう一度名前を口にしようとすれば、隣に座っていたヒョクチェがこちらに身を乗り出して唇を彼のそれで簡単に塞がれてしまう。
軽く触れただけのヒョクチェはすぐに離れてしまって驚いた私を間近でじっと見詰めてくる。
今回のアルバム用になのか、濁りのない金色の髪から見える瞳に心臓がどきりとはねた。
あまりの近さと、視線の強さに縛られて徐々に身体の熱が上がってきてしまう。
きっと紅くなってしまった顔が恥ずかしくてヒョクチェの斜め下に視線を下げれば上から微かに笑った漏れ息が聞こえた。
「顔、真っ赤」
くすくすと笑う声に余計恥ずかしくなって両手で顔を隠そうとしたら、その手をヒョクチェにやんわりと取られてしまう。
さっきより増して心臓が早鐘を打つ。
「なんでヒョクチェじゃないのかな?」
責めるでもない柔らかな声に胸のあたりがきゅっと苦しくなる。
頭がぼんやりしてこのまま倒れてしまいそう。
「だってウニョクって響き可愛くて…」
「ふぅん…」
目の前の顔を見ないようにしながら小さな声で答えれば、また上で笑った。
「ヒョク「+++」
いい加減いろんなものに耐えられなくて、名前を呼ぼうと顔を上げれば被さるように彼が私の名前を呼ぶ。
またふんわりと唇を落としたと思えば、そのまま器用に身体の向きを変えられソファへと押し倒された。
「ちょっ…ヒョクチェ…っ」
「あんなに名前呼ばれたら誘われたと思うじゃん?」
ないない!と首を振っても彼はニヤリと笑うだけで。
上から振ってくる容赦のないキスに呼吸全て奪われたみたいに、ヒョクチェの唇に追い付くのがやっと。
思考が鈍くなる頃、やっと離れた唇は妙に嬉しそうに歪められていた。
「まだ、時間あるからね」
何が?と聞く前に今さっきまで呼吸を奪っていたそれは首筋へと滑り出す。
小さな身体なのに、意外と筋肉がしっかりついている身体に抱き寄せられるこの瞬間が言葉にならないほど幸せで。
今度はゆっくりと重ねられる唇を眼を閉じて待った。