タイトル企画2
□無意識にこの手は、
1ページ/1ページ
「…っ…きゅひょな…ぁ…っ」
小さく啼いた声に見えないところで口角をあげた。
嫌だイヤだと被りを振っても、徐々に熱を上げ始める肌は嘘がつけないのに。
ただ手の甲に口付けて舌で辿っているだけなのに、目の前の彼女はもう涙目で震えてる。
それがどれだけ心を揺らしてるかなんて気付いてないんだ。
非情な人。
「+++さ、」
悪態ついてもそれはとても無意味に。
「僕のこと好き?」
「え、なに…?」
すぐに返ってきた返事に殊更何も思わず、というかこの切り返しなのは予想の範囲内だ。
またひとつ手の甲から少し上、手首の内側に口付けて。
少し上目遣いに+++を見る。
微かに朱に染まる目尻を歪めて見詰めてくる彼女。
その距離を少し縮めて鼻先程の距離へ。
分かってはいたけど、すぐにぎゅっと目を閉じてしまって完全にシャットアウト。
いいの?そんな事して。
口角がさらにあがる。
「ね、+++言ってくれないの…?」
「ぁ…な、なんで今更そんな事、聞くの…!」
「ねぇ好き?嫌い?」
唇に触れるでもなく、鼻に触れるでもない中途半端な位置に唇を落とすと、捕まえたままの手首が微かに力む。
「や、も…きゅひょ、な…」
「言って+++。好きなの嫌いなの?」
答えなんて分かってるけど。
震えてる睫毛に唇で触れるとその瞼からついに涙が零れた。
「どうして泣くの?」
「やだ、きゅひょな、イジワル…っ」
「+++の気持ち聞きたいだけじゃん。ダメなの?好きじゃないの?」
涙を唇で辿るとほんの少し瞼が開いた。
涙で濡れてしまった睫毛と唇で、望んだ言葉を言われてしまえば。
「す、すき、だよ…きゅひょなのこと好きだも」
もう食べたくてしょうがないじゃない。
「ん…っぁ、き…」
容赦なく唇を開いてその奥に入り込む。
歯列をなぞればその舌を追うように彼女のそれも動いて。
首の後ろに腕を回しながら彼女へと体重を掛けた。
「…ん、+++可愛い…」
「、はぁ…きゅひょな、」
「うん、今日は優しく愛してあげるから」
ふにゃりと緩んだ目尻にもう一度キスを落とした。