タイトル企画2
□おはようの代わりに、
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別になんてことはない、只の平日。
ただ珍しく仕事がいつもより遅入りだからと+++の部屋へ泊まりに来ただけ。
一度宿舎へ戻らなきゃいけないから、結局時間自体はそんなに変わらないのだけど。
あんまり見慣れない天井にぼんやりとその風景を見つめて、欠伸をひとつ噛み殺す。
目を擦って隣を見れば自分にピッタリ引っ付くように身体を寄せて眠る+++。
頭ひとつ分下に寝る+++のつむじが眼下に見えて、少しだけ頬が緩む。
柔らかい髪からは普段から彼女が使っているシャンプーのほのかな香り。
視覚も、嗅覚も、触感も、すべてが彼女一色に染まるこの瞬間が堪らなく心地良い。
+++の身体の下に置かれた腕を回して寝返りをうちながら更に身体を寄せる。
疚しい気持ちなんて一切なく、ただ抱き締めて触れるこの感触が気持ちいい。
柔らかくて、細くて、馬鹿みたいに好きだなとか、自分には珍しく痛々しいことばかり頭を巡る。
そんな事を思ってるなんて寝てる彼女は知りもしないのは当たり前なのになんだか悔しくて、近付けた顔を少し離して+++の顔を覗き見た。
安心しきったような締まりのない緩んだ顔で眠る頬を手の甲で撫でる。
触れる感触は分かるのかむず痒そうに睫毛を振るわせて少し被りをふるう。
むくりと擡げる、自分のいたずら心。
もう一度頬を撫でつけてそこに軽く唇を落とす。
今度は眉に皺を寄せながら体制を少し変えた。
口角が緩むのが自分でも分かる。
髪を梳いてそのままこめかみ、頬を滑って顎。
微かに+++の顔を上向かせれば彼女の唇は僅かに開かれた。
なんか空気が甘ったるいな。なんてどこか思いながらその唇に自分のそれを重ねる。
気持ち長めに重ねて、少し彼女の上唇を甘噛みしてから離れて舌先でそこを舐めた。
ほんのり漏れる吐息に少なからず興奮を覚えて+++の身体に回した腕に力が入る。
身体を反転させて覆い被さるようにその身体を見下ろせばまた、髪に指を通しながらキスを落とした。
さっきよりも長くそこを塞いでいれば眠っていた彼女の身体が軽く跳ねる。
それを無視してするりと咥内に舌を滑り込ませれば、意識がはっきり覚めたのか背中を容赦なく叩かれた。
「…きゅ……っん」
端から漏れる声に気をよくして上顎を舐めあげる。
うっすら目を開いて彼女を伺い見れば頬も目尻も、真っ赤に染めあがっている。
奥に引っ込んだ+++の舌を引っ張り出して甘噛めば身体はさっきよりも強くびくりと反応した。
もう背中なんて叩いてられないのか縋るように握られた彼女の指先。
全ての反応に満足感を覚えてちゅっと可愛らしい音を立ててようやく彼女から離れた。
「+++平気?」
ずるっと背中から滑り落ちた掌に自分のを絡めて目許を撫でれば乱れる呼吸を静めるように何度も深く息をつく。
少しして落ち着いたのか目蓋を開いた彼女の瞳には怒りの色が混じっている。
この次に出てくる言葉なんて誰だって見当がつくんだろう。
少しだけ、+++には悪いと思いながら笑った。
「も…きゅひょんの馬鹿っ!!」