タイトル企画2

□狼
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イケナイとは分かっていても、目の前にちらついてしまえば簡単にモノは崩壊する訳で。

自分の下でほんのり香る甘いお酒の香りと、薄く開いたぽってりとした唇。

はしたないと思っても、所詮惚れた弱味というやつで。

指先で前髪を軽く払って、覗いた額に軽く口先を落とす。

身動きひとつしない姿に顔を歪めながら、親指で下唇を辿った。

程よい弾力のそれに、僅かに心臓を踊らせながら徐々に影を落とす。

起きないでと思いながら、反面起きて自分を見詰めてほしい気持ちもあって。

開かない瞼に複雑な感情のまま、軽く自分のそれを重ねてみる。

すぐに離した感触は感動と、熱と、物足りなさが相間って余計複雑になった気がする。

「…っていうか…起きてくれてもいいじゃん」

もう一度指先は軽く唇を辿って、今度は上唇をはむように。

軽く開いた彼女の唇をいいように押し退けて、勝手にその中へと進んでみる。

想像以上の柔らかさにうっとりと堪能していれば、微かに+++の鼻先から甘い息が漏れた。
 
上あごをなぞりながら唇を離せば彼女の瞳は寝ぼけながらも、しっかりと自分の姿を捕らえている。

「ひょく…?」

掠れた声で何かを聞く彼女に小さく笑って瞼に軽いキスを落とした。

「+++甘い」

「…なに」

覆いかぶさった彼女の脇腹を微かに撫で付けながら顔中に唇で何度も触れれば、擽ったいと軽く押し退けられる。

彼女が動く度に香り立つ甘い空気にクラクラしそう。

耐え切れずに再び唇を覆えば+++の目尻が僅かに赤く染まった。

「ね、」

「ん…?」

有り得ないくらい至近距離。

上唇なんて触れ合ったまま、+++の眼を見詰めた。

軽く問えば、彼女も軽く返事を返す。

「…いつになったら+++は俺のものになるの?」

いい加減待てない。と続ければもう待ててないよ。と笑われた。

「もう好き過ぎて無理」

本音を言えば、また甘い香りをさせながらありがとう。と笑う。

また今日もはぐらかされたかと身体を離そうとすれば、彼女にシャツを引っ張られた。

「…え」

「ひょくちぇ、もっと」

気付けば柔らかい彼女の唇の感触。

甘ったるい声と、鼻をつく香り。
 
簡単に、崩される。





 


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