タイトル企画2
□愛
1ページ/1ページ
+++ちゃんが来てるよ。なんてヒョンからメールが入って急いで宿舎へと帰ってきた。
玄関でスニーカーを脱ごうにもこういう時に限って手間取って、少し乱暴に脱ぎ捨ててリビングに駆け込む。
そこに居たのはジョンスヒョン。
だけ。
慌ただしい足音に顔を上げたヒョンは微かに笑ってソファの背に深くもたれ掛かった。
「おかえり。+++ちゃんならドンヒの部屋にいるはずだよ」
喉の奥でくつくつと笑うヒョンに恥ずかしさを押し込んでぶっきらぼうに返事を返し、さっさとリビングから抜け出す。
僅かに赤くなった頬を掻きながら自分の部屋の扉を開いた。
すぐに走り寄ってきた小さな身体を抱き上げてお決まりのただいまのポッポで触れる。
細い指先の肉球に弱々しくパンチをされながら視線を外せば、ベッドの上にも小さく丸まった彼女。
腕から床へ飼い犬の身体を降ろせばすぐさま走り出し、ベッドへ飛び乗って彼女へと寄り添う。
「おまえズルいぞ…」
小さくぼやいて自分もベッドに腰をおろした。
規則正しい寝息を立てる姿に頬が緩んで、少し乱れた前髪を撫で付ける。
身体にブランケットでも掛けようと手に持ったところでシーツに投げ出された細くて白い脚に一瞬視線を奪われた。
驚いた声をあげそうになったのをぐっと堪え、ブランケットですぐにその身体を覆う。
妙に煩くなった心臓を落ち着かせるように深い溜め息をひとつ吐き出して、恨めしく気持ちよさそうな彼女の寝顔を見詰めた。
すっかり隣に潜り込んだ奴も眠ってしまって。
どこか自然と口角が上がるのを感じながら、+++の右腕を取った。
今日の為にと意気込んで用意した彼女が好きそうなデザインのシンプルなリングを薬指に。
嵌めた細い指先に軽く唇を落とした。
「+++、起きたら一番に言いたい事があるんだ」
折れてしまいそうな指先を離さないように、きゅっと握り締めた。