現実狂走
□忘却メアリー
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彼は信愛なるギルダート。
唯一わたしを理解してくれるの。
わたしの全てを理解してくれてるのよ。
『ねぇギルダート。好きよ』
「うん」
『でもね、ギルダート。貴方、わたしの全て知っているでしょ。わたし過去は棄てたいの。貴方がいるとわたしは過去を思い出してしまうわ』
「メアリー、それでも君も僕の過去を知っている」
そう。私達は互いの傷を舐めあうことで理解できているの。
それと同時に傷を抉りながら、会っているの。
『貴方にあのとき全て話してしまったから、わたしは貴方に話したことを思い出してつらいの』
ギルダート。貴方に会うことでわたしのツラい過去をギルダートに話ししまったあの日を思い出す。でもそれが、貴方の側に居たことを思い出す。
『ギルダート。それでもわたし、貴方の側にいたい!』
答えははじめから決まっているわ。ギルダート。
「ずっと一緒にいよう」
誰の目に入らない、誰も知らない場所で
今日も傷を舐めあい、抉りながら
戻れない世界に
堕ちていこう。
貴方と二人なら怖くない。
、