現実狂走

□忘却メアリー
1ページ/1ページ




彼は信愛なるギルダート。
唯一わたしを理解してくれるの。



わたしの全てを理解してくれてるのよ。


『ねぇギルダート。好きよ』


「うん」


『でもね、ギルダート。貴方、わたしの全て知っているでしょ。わたし過去は棄てたいの。貴方がいるとわたしは過去を思い出してしまうわ』


「メアリー、それでも君も僕の過去を知っている」



そう。私達は互いの傷を舐めあうことで理解できているの。



それと同時に傷を抉りながら、会っているの。



『貴方にあのとき全て話してしまったから、わたしは貴方に話したことを思い出してつらいの』


ギルダート。貴方に会うことでわたしのツラい過去をギルダートに話ししまったあの日を思い出す。でもそれが、貴方の側に居たことを思い出す。



『ギルダート。それでもわたし、貴方の側にいたい!』



答えははじめから決まっているわ。ギルダート。


「ずっと一緒にいよう」


誰の目に入らない、誰も知らない場所で




今日も傷を舐めあい、抉りながら





戻れない世界に





堕ちていこう。





貴方と二人なら怖くない。





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ