べるぜバブ

□思い出してはまたひとり嬉しくなるの
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男が扉を開けたので古市が中を覗くと、そこではケースに入った大きな虫達が動いていた。

「すげー!」

パッと顔を輝かせて古市は虫に駆け寄った。

「はっはっは、大きいだろう」

背後でバタンと扉の閉まる音がする。

「うん!なんか捕まえるコツとか――」

古市は勢いよく振り返った。
するとそこには……

「おじさんのチ○コは、大きいだろう?」

俗に言う「フルチン」の男が居た。

「……ぇ?」

男は興奮しているのか鼻息荒く、気品のかけらもない笑みを浮かべている。

状況が呑み込めない古市はただ固まっていた。

「だめだよぉ、そんな無防備じゃ。
知らない人について行っちゃいけないって親から教わらなかったのかい?」

「え、あ、いや…」

って何マジメに答えてんだ俺。
てかなんなんだこの状況。
俺、なにされんの…?

「親の言うことを聞かないから、こうなったんだよぉ…」

ニタニタと笑いながら男が歩み寄ってくるのに合わせて、古市も座ったままの体勢で後ずさる。

しかしそれも束の間、すぐに体は壁にあたり、これ以上後ろには逃げられなくなった。

「ちょ…待ってよ…」

やばい。
これはなんかやばい。
冗談なんかじゃなく、がちで笑えない。

古市は急いで扉の方に目を向けた。
扉は閉まっている。
が、不幸中の幸いか、鍵はかかっていないようだ。



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