べるぜバブ

□思い出してはまたひとり嬉しくなるの
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そんなわけで、友達みんなで虫捕りに行くことになった。

小さな山の中を進んでいくうちに、古市は自分の目の前の木に巨大なカブトムシがとまっているのに気づいた。

(で…でっけえ…っ!)

角を含めなくても20pはある。
グロテスクなほどにでかい。
これほど大きいカブトムシなんて、テレビでも見たことがない。
人間の世界にこんなカブトムシが、本当に存在するのだろうか?
夢…じゃない、よな…?

まるで魔界のカブトムシみたいだ。

他の奴らに気付かれて、横取りされてしまわないようにするにはどうすればいいだろうか。

ここいらにゃデカいのは居ねーかーとか言いながら、みんなは今にも先へ行ってしまおうとしている。

心臓がバクバクいうのを抑えながら古市は頭をフル回転させ、しばらくすると素晴らしい案を思いついた。

「――っぐあああああアアアアア!!!!」

突然の古市の絶叫に、子供達は飛び上がった。

「な、な、なんだよ古市?」

心配して駆け寄ってきたみんなに、腹部をおさえながら迫真の演技で古市は訴えかけた。

「う…ぐぅ…
は、腹が…」

「腹?腹痛いのか?
大丈夫か?」

「なんだ古市、うんこか?」

あほな男鹿の言葉は無視する。

「ああ…大丈夫…じゃないかも…
これは…」

「?」

「これは下痢だ」

「な…!ここで!?」

……古市は先ほど素晴らしい案を思いついたと言ったが、果たして本当に素晴らしい案といえるのかどうかは作者的には謎である。
だってうんこだもん。
この頃から既に古市にはプライドというものが無いのだろうか。
がしかし、案の定みんなは戸惑っていた。

ちなみに男鹿は「無視するなよ。やっぱりうんこなんじゃねーか」とか言っていた。
この聡明な古市様の計画の邪魔をしないでいただきたいところである。
お前は黙ってろって言いたいところである。

古市は男鹿を黙らせたい衝動を抑えながら演技を続けた。

「あああ…出る…もう出る…!」

「え、ちょ、ちょっと待てよっ」

「いやもう無理出る…!
悪いけど出したら追いつくから、先行っててくれ!」

「お…おう分かった…
はやく追いついてこいよ…」

「お、おうっ」

みんなが行ったのを確認してから、深呼吸をして網を構える。

「フフフ…これでこの巨大カブトはオレのものだ…」

めっさにやける顔を必死の努力でキリッとさせて、集中してカブトムシに狙いを定め、今だ!と網を振った瞬間。

「…あっ!」

ヴゥーン…と羽を鳴らしながらカブトムシは飛び上がり、古市の脇をすり抜けた。

「待てよ!」

慌ててカブトムシを追って走り出す。

しかし、しばらく右に左に走ったところで、カブトムシは道を逸れてどこかへ飛んでいってしまった。



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