いろいろ
□おんぶ
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「ったく、だからお前から目を離すの嫌なんだよ」
「ぅ…」
「何でもっと早く言わないんだよ」
「だって…」
「だってじゃないだろ。足捻って、こんなに腫れるまで我慢して」
久々の亮とのお出掛けだからと、いつもよりオシャレしたくて履いたヒールの高いパンプス。
慣れてない私は、歩いてる途中に思いっきり足を挫いてしまった。
亮に迷惑かけたくないからって今まで黙ってたのに、亮に気付かれた。
「ごめんね…」と呟けば、亮はため息を吐いて私の足をまじまじと見る。
「…少しぐらい甘えろよな。俺の事、頼りにならないと思ってんのか?」
「思ってないよ!迷惑かけたくなかったから…」
「じゃあ、乗れ。その足じゃ歩けないだろ?おんぶしてやるから」
「えっ、でも…」
「いいから、早く乗れよ。大丈夫だから」
「…うん、分かった」
亮の首に腕を回す。
予想してたより広い背中に、私の胸は高鳴った。
私の事を気遣いながら歩いてくれる亮に、不謹慎かもしれないけど足を挫いて良かったって思った。
『 おんぶ 』
「ねぇ、亮」
「ん?」
「ありがとう」
「どーいたしまして」
亮の優しさが、とても心地よく感じた。
End